高速時間分解振動分光による新規光センサータンパク質の構造変化と機能発現機構の解明
Project/Area Number |
05J03882
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Osaka University (2006-2007) Kobe University (2005) |
Principal Investigator |
水野 操 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 時間分解振動分光 / 共鳴ラマン散乱 / 光センサータンパク質 / タンパク骨格構造変化 |
Research Abstract |
光応答によるタンパク質の生理機能は、発色団の光吸収により誘起された構造変化の周辺タンパク骨格への伝播によって発現する。本研究は、本来の生理活性条件に近い状態における種々のタンパク質の構造変化の初期過程を観測するための汎用な実験方法としてのピコ秒時間分解紫外共鳴ラマン分光法を確立し、タンパク質が機能発現するしくみを解明することを目的としている。 本年度は、タンパク骨格側の構造変化の初期過程を総合的に理解するために、二次構造の光誘起高速構造変化の実時間観測を試みた。イエロープロテイン(PYP)について、二次構造変化に鋭敏なアミド振動バンドの紫外共鳴ラマンスペクトルのピコ秒時間分解測定を行い、ポリペプチド骨格構造の高速変化を検出することに成功した。これにより、発色団の光励起に応答したポリペプチド骨格の高速構造変化を見出した。昨年度までの研究で、PYPのタンパク骨格の中に含まれているチロシンやトリプトファン残基の紫外共鳴ラマンスペクトルの変化から、光励起後数ピコ秒において、発色団周辺および発色団から離れた部位での高速構造変化を検出している。これらの結果から、PYPでは構造変化がタンパク骨格中を非常に速く伝播していることがわかった。 タンパク質の二次構造に関する情報は、赤外吸収および円二色性スペクトルからも共鳴ラマンスペクトルと相補的に得ることができる。しかし、これらの分光手法は、溶質の他の振動モードや溶媒の吸収、試料からの蛍光や光散乱などの影響を受けやすいため、実験条件の制約が多い。共鳴ラマン測定はこの制約が小さいため、生理的な環境に近い状態でタンパク質の構造情報をより多く得ることが可能である。アミド振動バンドのピコ秒時間分解紫外共鳴ラマンスペクトルの観測は、芳香族アミノ酸残基のスペクトルの観測と同様に、タンパク質の初期構造変化を議論するために非常に有効な手段である。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)