海洋生物の生活史進化の理論的研究:空間的・時間的に大きく変化する環境への適応
Project/Area Number |
05J06253
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
入江 貴博 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 進化生態学 / 生活史 / 海洋生物 / ベントス / タカラガイ / 貝殻 / 体サイズ / 飼育実験 / 最適生活史 / 数理モデル / 地理的変異 / 環境変動 / 表現型可塑性 / 野外調査 |
Research Abstract |
時間的・空間的に不均質な環境条件に対する海洋生物の生活史戦略を研究するための対象として、潮間帯に棲むハナビラダカラMonetaria annulusを扱っている。変態後の決定成長を示す本種では、波あたりの強い生息地では弱い生息地に比べて体サイズの大きな個体が多く見つかる。第一の課題として、この空間パターンが個体群間での遺伝的差異に基づくのかどうかを明らかにするために、サイズの差が著しい沖縄本島の二個体群から採集した幼貝を実験室内の同一環境で飼育した。このCG実験(common-garden experiment)の結果、野外で観察される体サイズの差異は、遺伝的差異に基づく変態サイズの違いを反映したものではないことが実証された。第二の課題として、野外で上述の空間パターンが生じるメカニズムの解明がある。必要な情報を集めるために野外調査を実施した結果、(1)波あたりの弱い生息地では夏季に水温が上がり大量死が起こる;(2)両生息地で変態サイズは冬に大きく夏に小さくなる;(3)変態後の死亡率にサイズ依存性はないことが判明した。以上の結果を前提として、サイズ構造を伴う個体群モデルを解析したところ、変態サイズに季節性がある場合には夏季の大量死が波あたりの弱い生息地の平均体サイズを小さくする効果を持つことが証明された。一方、最大尤度に基づくノンパラメトリック回帰分析の結果、表現型可塑性を介した変態サイズの群間変異は夏季に限って観察され、上述のパターンを単独で説明するには不十分な規模であることが判明した。以上の結果は、「海洋性ベントスで広く見られる形態形質の種内空間変異は表現型可塑性を反映したものである」という従来の予測に反するものである。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)