Project/Area Number |
05J06334
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
森 建 首都大学東京, 大学院人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 哲学 / 論理哲学 / 形而上学 / 意味理論 / 哲学史 |
Research Abstract |
Logikの哲学(ボルツァーノ知識学に端を発する、判断・命題等sentence typeの対象の分析によって考察を推進する哲学の学統)の英国観念論への浸透。ブラドリーガ志向性の媒介者としての役割によって英国伝統の概念ideaをlogicの哲学内に再生を試みていたこと。ブラドリーに対するムア・ラッセルの反対は、ブレンターノの提起から志向性概念を敷衍洗練したヘフラー、トヴァルドフスキー、マイノンクら独墺学派内での道行に極めて親近なものと考えられること等。これら前年度の調査に加え、ボルツァーノ知識学およびJ.S.ミルら所謂「伝統的論理学」の概括的調査・ラッセル諸論考の再検討が、歴史的文脈の解明をさらに進め、命題概念を巡る多くの哲学的興味に見通しを与えることとなった。命題の哲学として見たラッセル初期諸論考の著しい特色は(1)逐語的命題分析と(2)抽象の操作(クラス抽象・関数抽象等λ抽象の原型)の使用にある。命題の論理形式を主語-述語形式に偏重して捉える立場をラッセルは批判したが、命題の論理形式を限定的に捉え、正準的な形に括りがたい多様な命題がそこに帰着されうるとする想定は実際一般的なものであった。ボルツァーノ、ロッツェら「論理学の哲学」の論者においても同種の想定はそれぞれの形で見られ、これはまたアリストテレスからの伝統を継いだ(あるいは歪めた)「伝統的論理学」による別な正準化(命題の「二項理論」)に対する対立者の性格を持つ。この命題正準化の歴史において、逆に表層的文法形式を積極的に命題の論理形式として受け入れる(1)は異色である。関係語をはじめ軽視されてきた要素に意味論的値を与える必要性・多産性を、ラッセルは(2)から認識するに至ったものと考えられる。以上の文脈を踏まえ、初期ラッセル哲学と彼の初期論理主義・奔放な構造的数学理解との接点を、特色ある命題の哲学の観点から論じる論文を現在準備中である。
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