Budget Amount *help |
¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究は,幼児期における関係性攻撃(仲間外れ,無視など)の発達と,家族や仲間を含むさまざまな要因との関連を3年間にわたって縦断的に検討することにより,関係性攻撃の形成メカニズムを明らかにするものである。加えて,これらの成果を踏まえ,関係性攻撃児に対する指導プログラムの開発を試みることを目的とする。主な結果は,(1)1年目と3年目の攻撃の保育者評定の相関を算出した結果,女児のみにおいて,関係性攻撃は有意な正相関を示した。(2)1年目の保護者による養育スキル等の評定と,3年目の保育者による攻撃の評定の相関を算出したところ,男児では関係性攻撃について有意な相関は見られず,身体的攻撃については父親による外面化行動評定,夫婦げんかにおける父親の引きこもり,および父親のしつけの一貫性のなさとの相関が有意であった。女児では,関係性攻撃について父親の不機嫌・怒りと負の相関を示しており,身体的攻撃については有意な相関は見られなかった。(3)年長児66名を対象に,現実の教室場面における仲間関係や,仲間の好きな遊びに関する対人的知識を面接により調べた結果,関係性攻撃群は非攻撃群よりも,仲間関係に対する知識が正確かつ豊富であった。この結果から,対人的知識の高さが関係性攻撃という仲間関係を利用した,ある種,高度な攻撃を可能にしていることが示唆される。本研究の結果を指導プログラムの開発という観点からまとめると,(1)女児において関係性攻撃は何らかの指導がなければ持続しやすい,(2)年少時期の親による心理的コントロールやネグレクト的養育態度が関係性攻撃の素地を形成しており(1年目の研究結果),このことへの早期的介入が関係性攻撃の低減に有効である可能性がある,(3)社会的知識の豊富さを,関係性攻撃の低減につなげる手だてを考えることが重要である,等が指摘できる。
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