Project/Area Number |
05J10249
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 裕助 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | デリダ / ソシュール / シュミット / 決断主義 / テレコミュニケーション / グラマトロジー / コミュニケーション / 判断力 / 政治的判断力 / ハーバーマス / アーレント / カント / 『判断力批判』 / テレテクノロジー / 脱構築 / ド・マン |
Research Abstract |
本研究の最終年度である19年度の研究実績は、本研究の課題となっている「テレコミュニケーション倫理」の概念をめぐって、一方では、前期デリダの言語論との関連、すなわち、最重要の主著たる『グラマトロジーについて』との関連が問われ、他方では、後期デリダが「倫理-政治的」と呼ぶ主題に含まれる、民主主義と決断主義の問題が問われ、もって本研究課題の核心というべき論点が究明された。これは、発表論文にそくして、以下の二点に集約される。 1.テレコミュニケーションとグラマトロジー 構造主義の始祖ソシュールへのデリダの関係は、一般に「デリダによるソシュール批判」として語られてきた。だが、ここに敵対関係をみるのは早計である。論文「ソシュールのグラマトロジー」は、デリダのソシュール読解を再検討し、デリダの主著『グラマトロジーについて』の企てがそもそもソシュール言語学の達成なくしてはありえなかったことを示そうとする。この試みを、デリダのテレコミュニケーション概念の条件として討究したことで、この概念の射程が、デリダ本人の哲学を超えて20世紀言語学の核心にまで及ぶものであることが証示された。 2.民主主義における決断主義の問題 現代政治論の焦点たるカール・シュミットとデリダの両者の決定論の関係は従来明確に示されたことがなかった。一方で、シュミットの主権的決断主義は、決断の権威を国家主権へと実体化することで、決断主義を廃棄する決断、つまり非決断の政治へと反転する。他方で、デリダの「決定の思考」は、決断の無条件性をあくまで計算不可能な正義への権利として要求し続けることで権威の実体化を批判し、決定の可能性を無限に押し開こうと試みる。こうした対照を通じて、論文「決断主義なき決定の思考」は、デリダの思考のうちに、民主主義の只中でファシズムを導いた決断主義の政治への抵抗点を標定しようとした。
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