時間分解光電子顕微鏡によるメゾスコピック磁性体の磁化ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
05J11095
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Mathematical physics/Fundamental condensed matter physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷内 敏之 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 光電子顕微鏡 / 放射光 |
Research Abstract |
巨大磁気抵抗素子のような磁気記録デバイスでは、磁性薄膜や微小磁性体における磁気異方性や磁区形成がデバイス特性に大きな影響を与えるため、デバイス特性の向上にはそれらを制御することが重要な技術となる。ハーフメタリック伝導性を有するLa_<1-x>Sr_xMhO_3(LSMO)は次世代トンネル磁気抵抗素子への応用が期待されている。本研究ではステップ誘起一軸磁気異方性を持ったLSMO薄膜ならびにナノ構造の磁区形成を明らかにするため、PEEMによる磁区構造観察を行った。LSMO(x=0.4)エピタキシャル薄膜はレーザーMBE法を用いて[100]方向に原子ステップを持つSrTiO_3(100)基板上に作製した(テラス幅:100〜200nm)。またナノ構造は、得られた薄膜に対して電子ビーム描画とアルゴンイオンミリングによって微細加工を施すことで得た。PEEMによる磁区観察は円偏光アンジュレータビームラインBL25SU(SPring-8)にて行った。 次にLSMOナノ構造における磁区構造観察を行った。ナノ構造は5μm×10μmならびに1μm×2μmの大きさを持った長方形型であり、厚さは40nmである。PEEM測定はすべて、外部磁場をナノ構造の縦方向(長手方向)に印加し磁化を飽和させた後、残留状態で行った。その結果、ステップ方向によって素子中に異なる磁区構造が現れることが分かった。例えば5μm×10μmの長方形型のLSMOナノ構造では、ステップが長手方向と平行に向いている場合にはステップ方向に磁化の向いた単磁区構造を持っことが分かった。これはステップ誘起磁気異方性と形状異方性が協力的に働いているためと思われる。一方ステップが横方向に向いているナノ構造の場合、縦方向に磁場を印加したのにもかかわらず、ステップに平行な横方向の磁化を持つ多磁区構造が形成された。これらの結果はこのサイズにおいてはステップ誘起の一軸磁気異方性が形状磁気異方性よりも非常に大きいことを示している。 同様の実験を1μm×2μmのナノ構造においても行った。ステップが縦方向に向いたLSMOナノ構造では5μm×10μmの場合と同様、単磁区構造を持っていることが分かった。しかしながら、ステップが横方向に向いたLSMOナノ構造では5μm×10μmの場合と異なり、ステップに垂直な磁区を含んだ、微小磁性体に特有の閉磁区構造を持っていることが明らかになった。以上より、このサイズ領域ではLSMOナノ構造の磁区形成に対して、ステップ誘起一軸磁気異方性と形状異方性に加えてサイズ効果が大きな影響を有していることを示していることが明らかとなった。 以上の結果は磁気記録デバイスの特性向上に向けた重要な知見を与えるものと考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)