チラコイド膜脂質が光化学系IおよびII複合体の構築に果たす機能
Project/Area Number |
05J11578
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
植物生理・分子
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Research Institution | Okayama University (2006) The University of Tokyo (2005) |
Principal Investigator |
桜井 勇 岡山大学, 資源生物科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 光合成 / ホスファチジルグリセロール / 光化学系II複合体 / チラコイド膜脂質 / ラン藻 / Mn-クラスター / チラコイド膜 / 表在性タンパク質 / Mnクラスター |
Research Abstract |
ホスファチジルグリセロール(PG)は、光合成の初期反応が起こるチラコイド膜に存在する唯一のリン脂質である。これまでに、PGが光合成生物において必須要素である事は示されているが、PGが果たす具体的な機能についてはあまり解明されていない。本研究では、PG合成能を欠損する、ラン藻の変異株を用いた解析を中心に、光化学系II(PSII)複合体におけるPGの機能の解明を目的とした。 昨年度までの解析において、PG含量が低下した変異株より精製したPSII複合体からは、酸素発生をつかさどるMnクラスターの安定化に必要な、表在性タンパク質の多くが解離している事を見出していた。この結果に対し、PG含量が低下した変異株では、表在性タンパク質が、細胞レベルにおいても解離しているのかどうかについては疑問が残っていた。そこで、PG含量が低下した変異株の細胞を熱処理し、酸素発生活性の変化を調べたところ、温度依存的に活性が低下することが確認された。この事から、変異株のMnクラスターは、細胞レベルにおいても、表在性タンパク質で保護されておらず、不安定な状態にある事が分かり、PGが表在性タンパク質の結合を介して重要である事が明らかとなった。また、野生株より精製したPSII複合体をホスホリパーゼ処理する事で、PG分子を分解し、その際の活性の変化を調べる事で、PGの機能を明らかにしようと考えた。ホスホリパーゼ処理により、水分子からQ_Aに依存する酸素発生活性は、それほど影響を受けなかったが、それに対して、水分子からQ_Bに依存した酸素発生は、70%程度減少した。この結果より、PGはQ_Bにおける電子伝達を維持するために重要である事が示された。 以上、昨年度の結果と合わせ、PGはPSII複合体の酸化側においては、表在性タンパク質の結合を介し、また、還元側においては、Q_Bにおける電子伝達を正常化することで、PSIIの機能を維持するために重要である事が明らかとなった。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)