Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
新規な機能性高分子材料を創製する上で必要不可欠な高分子の精密設計が可能な制御/リビングラジカル重合の一つである原子移動ラジカル重合(ATRP)法は,重合速度論や様々な形態を有するポリマー合成に関する報告が多くなされている。現在,その工業化への実現に向けて,コスト環境面への配慮から水媒体不均一系への移行が進められているが,その複雑さゆえに,未だその重合速度論の基本的な概念が確立されていない。そこで水媒体不均一系ATRPにおける様々な問題点の克服・特有の現象の解明に向けてシミュレーション・実験を行った。 まず"金属触媒の水相への脱出"と"粒子径"に注目し,それらが動力学に与える影響について詳細に検討した。その結果,これまで不明瞭であった水媒体不均一系ATRPでの重合速度の増加・分子量分布のブロード化がすべて"金属触媒の水相への脱出"で説明することができることをシミュレーション・実験結果より明らかにした。また不均一系特有の効果として粒子径の影響が挙げられる。そこで粒子径が重合速度や分子量分布に与える影響についてもシミュレーションにより検討したところ,粒子径の減少に伴い重合速度も低下し,通常の乳化重合とは逆の結果が得られ,その原因も明らかにした。これまでは,シミュレーション結果をもとに検討を行っていたが,実際の実験でも上記のシミュレーションを支持する結果も得ている。 その他にも,マイクロエマルション重合にATRPを適用した場合,非イオン性界面活性剤の添加により分子量・分子量分布の制御を飛躍的に向上させることに成功した。これは,上述した"金属触媒の水相への脱出"が非イオン性界面活性剤により抑制されていると考えられ,それを支持する結果も得ている。 さらには有機テルル化合物を用いた制御/リビングラジカル重合のミニエマルション重合への適用に成功し,ブロックポリマー粒子の合成にも成功した。
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