外生菌根菌における宿主特異性の進化と種分化について
Project/Area Number |
06J02708
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biodiversity/Systematics
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 博俊 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2006 – 2007
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 外生菌根菌 / 隠蔽種 / 宿主特異性 / 相利共生 / 共進化 |
Research Abstract |
本年度の研究では、同所的に複数の外生菌根菌・オニイグチ属菌の隠蔽種が生育することが分かっている吉田山の中で、穏蔽種間で宿主樹種構成に関して分化が見られるかどうかについて調べた。まず、子実体サンプルのmtDNAの塩基配列を調べてDNAタイプ(隠蔽種)の識別を行った。次に、GPSを用いて子実体発生地点の位置情報を取得すると共に、各子実体の10m以内の範囲に生育する外生菌根性樹種の構成を調べてDNAタイプ間で比較を行った。さらに、オニイグチ属菌の菌根サンプルの分子解析を行い、DNAタイプごとの宿主樹種を決定し、その構成を調べた。その結果、吉田山にはDNAタイプ1、3、4が見られた。分布に関して、DNAタイプ1はコナラの分布、DNAタイプ3はアカマツの分布、そしてDNAタイプ4はツブラジイの分布とそれぞれ正の相関性が見られた。宿主樹種の構成では、DNAタイプ1と4はブナ科樹種のみを宿主としており、DNAタイプ3はアカマツとブナ科樹種を宿主としていた。その中で、DNAタイプ1はコナラを、DNAタイプ3はアカマツを宿主としている割合が有意に高かった。これらの結果から、DNAタイプ1はブナ科樹種に宿主特異性があってコナラに選好性のある隠蔽種、DNAタイプ3はアカマツに強い選好性のある隠蔽種であり、DNAタイプ4はブナ科樹種に宿主特異性があってツブラジイの生育する環境に選好性がある隠蔽種であることが示唆された。以上のことから、オニイグチ属菌は従来考えられていたよりも高い宿主特異性をもっており、隠蔽種間で宿主樹種構成などに関して分化が見られることが分かった。これらの発見は、外生菌根菌が低い宿主特異性をもつとしてきた従来の認識を覆すものであり、隠蔽種研究の意義を示す研究成果である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)