Project/Area Number |
06J10710
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Particle/Nuclear/Cosmic ray/Astro physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長井 稔 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2006 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 超対称性模型 / CP対称性の破れ / 電気双極子能率 / 暗黒物質 / 電気双種子能率 |
Research Abstract |
ボゾンとフェルミオンを入れ替える超対称性を導入した模型が素粒子標準模型を超えた物理として大きく期待されている。しかし、現在のところ超対称性粒子は未発見であり超対称性は破れている必要がある。従ってその破れのスケールや、その破れによって生じた超対称性粒子の質量構造を明らかにする事が大きな問題となっている。今年度の研究においては、電気双極子能率(EDM)の測定実験からスクォークのフレーバー構造を探る研究を進め、また宇宙論的に望ましい模型の解析を進めた。 超対称性模型ではフレーバーを保存する項とフレーバーを破る項の両方において、CP対称性を破る位相が存在しうる。しかしEDMの測定実験は前者の位相を厳しく制限し、また後者についてもフレーバーを破る過程の探索実験と伴って強い制限を与える。今年度の研究で我々は、フレーバーの破れから生じるEDMについてCPを破る位相ごとに系統的な解析を進め、高次のダイアグラムから来る輻射補正の寄与が重要となることを初めて指摘した。これらの寄与は従来考えられていた寄与より容易に大きくなりえるため、フレーバーの破れを起源とするEDMを議論する際にはこれら寄与を含める事が必須であることがわかった。これによりEDMの実験から超対称性粒子のフレーバー構造を議論する基礎ができたといえる。 宇宙論的な考察を進めると、グラビティーノの質量に対して示唆を与える事ができる。特に非常に軽い質量を持つグラビティーノを与える模型は、宇宙論的な問題を引き起こさないため、現象論的に魅力的な模型の一つとなっている。一方で、超対称性理論の真空構造の理解の進展により、準安定真空で超対称性を破る模型が盛んに議論されるようになった。こうした模型で非常に軽いグラビティーノを実現しようとすると、超対称性不変な真空が準安定真空の近くに現れるためにその真空間の相転移が問題となる。そこで我々は、現在の宇宙年齢まで量子的な遷移をせずに準安定真空が存在できるパラメータを求め、こうした準安定真空を用いた模型で軽いグラビティーノが実現できる可能性がある事を示した。 もう一つ宇宙論的に望ましい模型として、数百TeV程度の重いグラビティーノを持つ模型が挙げられる。そうした模型の一つとして近年、超弦理論に動機付けられた軽いモジュライ場のある模型が活発に議論されている。こうした模型においてはモジュライ場の存在により、標準的な宇宙の熱史に変更が加えられ、特に暗黒物質の残存量を説明できるかが問題となる。そこで我々は、モジュライ場の崩壊によって暗黒物質が非熱的に作られ、観測にあう残存量を予言できる事を示した。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)