2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10710
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長井 稔 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 超対称性模型 / CP対称性の破れ / 電気双種子能率 / 暗黒物質 |
Research Abstract |
素粒子標準模型を超えた物理としてボゾンとフェルミオンを入れ替える超対称性を導入した超対称標準模型が期待されている。加速器実験による超対称性粒子の直接的な発見がなされていない現状では、この模型探索には標準模型で禁止されている稀事象探索や天文学的観測が重要となる。今年度の研究においては、電気双極子能率(Eum)の測定実験及び宇宙に存在する暗黒物質の残存量の観点から超対称標準模型を調べた。 超対称性模型では様々なCP対称性を破る位相が存在しうるが、 EDMの測定実験によりこれらは厳しく制限されている。今年度の研究において我々はゲージ粒子の超対称性粒子であるゲージーノ粒子がディラック型の質量項を持つ模型においてEDMを抑制できることを示した。また超対称性粒子によるEDMへの寄与は輻射補正を通じて生じるが、超対称性粒子のフレーバー混合を通じても大きなEDMが生じる。今回我々は電荷をもったヒッグス粒子による2ループの輻射補正の寄与が非常に重要となることを初めて指摘した。この寄与は従来考えられていた寄与より大きくなりえて、将来実験において超対称性模型によるEDMへの寄与が発見された際にはこの寄与を考慮する事が必須となる。 近年のWMAP等の天文学的観測により冷たい暗黒物質の存在が確立されたが、超対称性模型はその有力な候補を与える。従って標準的な宇宙論を想定した時にその残存最が、現在観測されている残存量と一致するかを調べる事が重要となる。我々は超対称性模型が予言する暗黒物質候補の1つであるウィーノの残存量が非摂動論的な効果により大きく減少する事を指摘した。この発見により標準的なシナリオで作られたウィーノの残存量がWMAPの観測と一致するには、従来のおよそ1.5倍の質量が必要な事が明らかになった。
|
Research Products
(3 results)