Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、スーパーカミオカンデにおけるデータ収集のための電子回路の性能向上により、観測可能エネルギー領域を拡大し、高エネルギー領域での宇宙ニュートリノの研究を目指してきた。平成20年度は、これまで本研究において開発してきたQTC(電荷時間変換)素子とそれを搭載した新しいフロントエンドエレクトロニクスQBEE(QTC-Based Electronics with Ethernet)といった電子回路の大量生産とそれに伴う大量性能試験、スーパーカミオカンデ検出器への導入、キャリブレーション、さらに、取得された観測データの解析を進めてきた。平成20年度9月に行われた電子回路の導入は問題なく完了し、現在スーパーカミオカンデ実験は新たな実験段階「SK-IV」として観測を続けている。これまで、大きな問題もなく順調に観測が進んでおり、これにより、本研究における電子回路の開発は成功したと言うことができるであろう。新しい電子回路による観測はまだ始まったばかりであるので、平成20年度中に高エネルギー宇宙ニュートリノに関する研究結果を公表するまでには至らなかったが、そのための足掛かりは確実に作ることができたと考えている。電子回路の開発と並行して行ってきた事象再構成プログラムなどの改善は、高エネルギー宇宙ニュートリノの研究に限らず、スーパーカミオカンデ実験で行われる物理解析の多くに貢献するものであり、特に、核子崩壊の探索においては非常に大きな成果を上げることとなった。大統一理論から最も主要な崩壊モードとして予言されるp→e^+π^0モードにおいて、8.2×10^<33>年というこれまでの陽子崩壊探索実験の中で、陽子の寿命に対する最も強い制限を与えることができた。他の核子崩壊モードに対しても、スーパーカミオカンデ実験における初めての系統的な探索が行われ、多くのモードにおいて同様に最も強い核子の寿命に対する制限を与えることができた。
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All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (7 results)
15th IEEE NPSS Real Time Conference 2007, ISBN-1-4244-0867-9
IEEE Nuclear Science Symposium Conference Record 2007, ISBN-1-4244 1
Pages: 127-132
Conference Record of the 2006 IEEE NSS/MIC/RTSD 2006
Physical Review Letters (未印刷・掲載確定)