Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究では,前年度に引き続き,界面活性を有した代謝物の探索・構造解析を進めると共に,両親媒性代謝物の過酸化が実際のリグニン分解を担っている可能性に着目して研究を実施した.特にCeriporiposis subvermisporaの菌糸周辺を覆う多糖層であるsheathに着目して,その分画および分析を行った.高速液体クロマトグラフィーおよび質量分析法により,菌体外代謝物情報を網羅的に取得した.次に,それぞれの代謝物について界面活性,過酸化能を指標としたスクリーニングを行い,候補化合物の絞り込みを行った.その結果,界面活性と過酸化活性を有する代謝物や,セリポリック酸関連代謝物,新規セリポリック酸誘導体を多数見出した.得られた代謝物をLC/ESIMS,NMR分析に供し構造解析を行い,その構造をほぼ明らかにした.鍵代謝物であるセリポリック酸の絶対構造については,化学合成品と天然物をそれぞれキラルシフト試薬を用いたNMR法に供し天然型をRと決定した.また,in vitro合成を行い,上記代謝物が,本菌の菌体外酵素によって活性化(過酸化)されることを明らかにした.さらに,この新規過酸化代謝物が金属酸化を介して非フェノール性リグニンを効率良く分解することを示した.このように界面活性と過酸化活性を有する代謝物を同定し,構造・機能解析を行った.以上の結果は,セリポリック酸がセルロースの分解抑制とリグニン分解という選択的リグニン分解における重要な機能を担う新しい機構を示唆する.以上の成果は,国内学会での口頭発表4件,ポスター発表2件,国際学会での発表2件により報告した.また,本研究の一部は,2008年10月Phytochemistry誌に掲載され、Chemistry and Physics of Lipids誌に受理された.
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