Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Research Abstract |
炭素質コンドライト隕石中には数%程度の有機物が含まれていることが知られており,その有機物の大部分(70-99%)は溶媒に溶けない複雑な高分子有機物(不溶性有機物)で占められている.このような有機物を調べることは,初期太陽系進化過程を知る上で重要である. 隕石中の有機物がどのように分布しているかを調べるために,新しい分析手法である近接場赤外分光装置を用いた面分析を行った.その結果,1ミクロン程度の分解能で脂肪族CHなどの有機官能基及びシリケイトの分布を見ることができた.また,有機物の中でも官能基の分布に不均質があることが示唆された. また,顕微赤外分光法を用いて,隕石中有機物の加熱による減少の速度論的解析を,共存鉱物の影響を考慮して調べた.Ar雰囲気下でMurchison隕石の不溶性有機物と未処理の試料(鉱物有り)の等温加熱実験を行った.脂肪族CHのピーク高さの時間変化を三次元拡散律速モデルでフィッティングし,反応速度定数を求めた.アーレニウスの式を用い,速度定数と温度の関係から,活性化エネルギーと頻度因子を求めた.活性化エネルギーの値は,不溶性有機物のみの方が未処理の隕石よりも大きかった.したがって,Murchison隕石のマトリックス鉱物は有機物の熱分解を促進する触媒効果を持つことが示唆される.求めた活性化エネルギーなどの速度論的パラメータを用いて,炭素質コンドライト中有機物の加熱温度・時間の制約が可能となる.また,温度・時間プロファイルから有機物生存可能な母天体の深さのリミットを見積もることができる.
|