肝細胞癌におけるTGF-βシグナルに対するDIP1の機能の解明
Project/Area Number |
07J01397
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Experimental pathology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
生島 弘彬 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2007 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 膠芽腫 / 脳腫瘍 / 癌幹細胞 / 腫瘍原性能 / TGF-β / Smad / Sox2 / Sox4 / DIP1 / HHM / Olig1 / synexpression group / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
脳腫瘍は頭蓋骨に囲まれた定体積領域内に形成される腫瘍であることから、周囲組織の浮腫と併せて、他組織の腫瘍に比較して正常組織(正常脳)に対する強い圧迫効果を持つ。さらにその圧迫対象が生命中枢である脳であることから、頭痛・嘔吐・視力障害に始まり、強い症状を示す。その中でも特にWHO gradeIVに分離される膠芽腫は、平均生存期間1年未満、5年生存率10%以下、と全腫瘍の中でも最も予後の悪い腫瘍の一つである。これらに対して、薬剤抵抗性、放射線抵抗性、再発時の腫瘍原性、全ての統一的な原因になっているものとして、最近、脳腫瘍幹細胞の存在が指摘されてきた。しかしながら、この脳腫瘍幹細胞は従来の治療法に対してはほとんど抵抗性を示すことが分かり、新たな治療戦略の構築が必要となった。 本研究者らは東京大学医学部附属病院にて摘出された脳腫瘍組織から、脳腫瘍幹細胞の培養を行い、その中でTGF-βシグナルが、脳腫瘍幹細胞の未分化性の維持に重要な働きを果たしていることを突き止めた。さらに、in vitroでの解析を基にして、TGF-βシグナルの下流にSox4,Sox2が存在し、それらが脳腫瘍幹細胞の未分化性に寄与していることを明らかにした。 本研究者らによるさらなる検討から、TGF-βはSox4、さらにその下流のSox2の発現を誘導することで脳腫瘍幹細胞の"stemness"の維持を行っており、その結果として、脳腫瘍幹細胞の高い腫瘍原性能を保っている、と結論づけることができた。つまり、TGF-βの作用は脳腫瘍幹細胞の腫瘍原性能に必須の因子であり、その作用を抑制することで、脳腫瘍幹細胞の"stemness"を失わせ、腫瘍原性能を喪失させることができるということである。脳腫瘍において、高い腫瘍原性能をもった脳腫瘍幹細胞を喪失させることができるということは、すなわち、薬剤・放射線抵抗性の克服や再発リスクの低下を意味し、今後の新たな脳腫瘍治療法開発にとって重要な一歩となると考えられる。
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Report
(3 results)
Research Products
(14 results)