Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究で,我々は,次世代フォトニックネットワークに向けた光領域での偏波モード分散(Polarization Mode Dispersion:PMD)の適応補償の高度化に取り組んでいる.昨年度までに,可変のPMD補償器の制御方式に着目し,大きなPMD変動を正確に補償可能な制御アルゴリズムを確立した.本年度は,補償対象となるPMDの変動を,振動等に起因するmsオーダの高速な変化とし,これを追従補償するための補償器制御方式の提案と検討を行った. 我々は,高速なPMD変動を追従補償するために,ニューラルネットワークにおけるニューロンの学習に用いられる最急降下法を制御方式に適用することを考案した.この際,実システムでは,モニタリングパラメータの補償変数に対する偏微分成分をどのようにして求めるかが大きな課題となる.そこで,我々は,偏波状態を補償器前段で測定し,この情報からファイバ伝搬の物理考えることで,偏微分値を近似する手法を提案した.本手法を用いることで,補償変数の更新方向と幅を補償状態に応じて適応的に変化させることが可能となり,単純な探索手法と比較して,高速での追従補償が期待できる. 提案方式の検討のために,160Gb/sの伝送速度で伝送シミュレーションを行った.シミュレーションでは,まず,偏微分成分が十分な精度で近似されていることを確認した.次に,偏光度と呼ばれるPMDの補償度合いを表すパラメータが,従来の方式では補償が困難である数msのPMD変動に対して安定化することを示した.また,この偏光度の安定化が,伝送品質(Bit Error Ratio)にどのように影響するのかをPMDの変動速度を変えて検討し,1-3ms毎の変動に対しておよそ2dB程度の改善を得ることを確認した.我々は,これらの成果を国内外の学会で発表しアピールするとともに,IEEEをはじめとする学術論文誌に投稿し,採択された.
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