Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
前年度に引き続き,精密な触媒設計を目的として,立体的・電子的に多様性を持つN-heterocyclic carbene(NHC)由来pincer型ニッケル錯体群の合成とその触媒活性の評価についての研究を遂行した. まずはじめに,前年度に合成法を確立した,立体的性質の異なる4種のニッケル錯体に加え,リガンドのイミダゾリン環上に電子供与基あるいは求引基を導入した5種のニッケル錯体群を合成し,それらの触媒活性を調べた.その結果,芳香族ハライドとボロン酸との鈴木-宮浦カップリング反応において,リガンドの立体的・電子的性質の違いにより,それぞれの錯体が異なる触媒活性を示すことを明らかにした.今回の結果は,pincer型リガンドがその立体的・電子的性質を変化させることで,金属錯体自体の反応性を容易に制御することができることを示すものであり,精密な触媒設計を行う上で非常に有用な知見が得られたと考えている. 続いて,実用的な有機合成を指向したクロスカップリング反応の開発を目的として,pincer型ニッケル錯体を用い,芳香族またはアルケニルトシレー卜およびメシレートの鈴木-宮浦カップリング反応を行った.詳細な検討の結果,pincer型ニッケル錯体存在下,"DMEあるいはdioxane中,120℃"という反応条件を用いることで,種々の芳香族トシレートおよびメシレートとボロン酸との反応が円滑に進行することを見出した.加えて,同様あるいはより穏和な反応条件下,アルケニルトシレートの反応も収率よく進行した.今後,トシレートやメシレートを基質とする広範なクロスカップリング反応への適用により,本触媒系の実用性をさらに向上できると考えている.
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