Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本年度の研究では,無意識的な単語の処理時には左半球の紡錘状回,中側頭回,前頭前野などの活動がみられることを明らかにした.これらの活動は,注意喚起刺激によって注意を喚起した際には観察されたが,注意を喚起しなかった条件では観察されなかった.また,単語の意味処理において漢字とかな(ひらがな)では意識的処理,無意識的処理において処理システムが異なるのかどうかを意味プライミング課題を用いて検討した.実験はプライム語とターゲット語間の呈示におけるSOAを変化させることによって意識的過程と無意識的過程を分離した.SOAが長い条件では意識的過程が働き,短い条件では無意識的過程が働くと考えられる.実験の結果,漢字の無意識的処理ではプライミングの効果は左の後側頭葉に見られた.かなの無意識的処理は漢字と比べて前方の側頭葉に見られた.また,漢字ではかなに比べ右半球にプライミングの効果が強く観察され,漢字とかなでは異なる意味処理システムが存在する可能性が示唆された.また意識的処理においても両者は異なる活動パターンを示し,意識的処理も異なるシステムによって支えられている可能性が示された.この結果は,意味処理は文字の形態などによらず,一定であるというこれまでの仮説を覆すものであると考えられる.また,脳波を用いた研究では,閾下の意味プライミング課題を用いて閾下の単語処理の電気生理学的な基盤を検討した.その結果,閾下のプライミングによって,単語処理時に左半球の後側頭領域で高周波帯域活動であるガンマ帯域活動が減少することが示された.さらに,この領域と左半球の前頭領域の活動の同調がプライミングにより有意に上昇しており,プライミングによって領域間のより効率的な情報伝達が達成されることが明らかになった.この結果は,プライミングの効果が領域間の情報連絡に影響を与えうることを示した数少ない結果の一つであり,大きな意義があると考えられる.
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