Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2010: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
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Research Abstract |
シンプレクティック多様体の幾何学的量子化において,実偏極による量子化と複素偏極による量子化という全く異なる量子化の方法が同じ結果を与える,という現象がさまざまな実例で知られている.本研究の目的は,この現象に概念的な理由を与えることである.仮に,前量子化直線束の正則切断が,複素偏極を実偏極に近づけてゆくと,ボーア・ゾンマーフェルト軌道と呼ばれるあるラグランジュ部分多様体に台を持つデルタ関数に収束してゆく,ということが成立すれば,この仮説は上記の現象の概念的な説明を与えることになる.トーリック多様体の場合には,Baierらによりこの仮説が正しいことが示されている. 今年度は,前年度からの研究を継続して,旗多様体の場合にこの仮説が成り立つことの証明を完成させた,すなわち,旗多様体のシンプレクティック構造を固定したときに,旗多様体をトーリック退化させたときの複素構造の変形と,Baierらのトーリック多様体の複素構造の変形を組み合わせたような,旗多様体の複素構造の変形を構成して,上記の仮説が成立することを示した.Baierらはトーリック多様体の複素構造の変形を構成したが,我々の場合には,トーリック多様体のある部分多様体の複素構造の変形を構成することが必要となるために,Baierらの議論をさまざまな点において修正,あるいは精密化した.また,トーリック退化の議論をシンプレクティック幾何の枠組みに書き換える際に,さまざまな対象の自然な同一視を構成することが必要となり,これらを実行した,そして,旗多様体のトーリック退化とBaierらの変形を組み合わせる際にも,それぞれの変形のスピードをうまく調整することにより,上記のような旗多様体の複素構造の変形を構成した.この結果はConvergence of Kahler to real polarizations on flag manifolds(preprint,34ページ)にまとめられた.
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