ゲージ/重力対応と行列模型の関係に基づく量子重力の非摂動的定式化
Project/Area Number |
08J00892
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Particle/Nuclear/Cosmic ray/Astro physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畔柳 竜生 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | ラージN縮約 / 行列模型 / ラージNゲージ理論 / ブラックホール / ブラックホール熱力学 / ゲージ/重力対応 / 量子重力 / 2次元共形場理論 / ゲージ / 重力対応 / 超弦理論 / D-brane / モンテカル口法 |
Research Abstract |
本年度はまず、前年度の研究に引き続き、ラージN縮約における随伴表現フェルミオンの効果を詳細に解析した。近年の数値計算において、この効果を考慮するとラージN縮約を実現する上で必要な中心対称性が回復するとの指摘があり、特にフェルミオン質量が予想以上重い場合でも回復することが確認されている。そこで我々は、この結果に対する固有値ダイナミクスに基づく解析的説明を与えるとともに、有限温度への拡張を議論し、中心対称性の回復を数値的に確認した。ラージN縮約は量子重力の非摂動的定式化に向けた行列模型においても重要であり、本研究はその本質的理解を深めるうえで有用である。 また、ゲージ/重力対応の立場から、Kerr/CFT対応と呼ばれるブラックホールの微視的状態を記述する手法の拡張を議論した。有限温度ブラックホールへの拡張と整合性の観点から、漸近対称性として非カイラルなビラソロ対称性を同定する必要があるものの、未だ満足のいく形で実現されていない。しかし、本年度秋、高次元零温度Kerr-Newmanブラックホールの特別な極限では局所的AdS3構造が事象の地平面近傍に現れ、対応する漸近対称性として非カイラルなビラソロ対称性が同定できる可能性が指摘された。そこで我々は、同構造が現れるために本質的なのが零エントロピー極限であることを指摘し、より一般の零温度ブラックホールに対しても同様に局所AdS3構造が現れることを示した。また、自然な正則化を導入することで、中心拡大した非カイラルなビラソロ対称性を漸近対称性として実際に同定することにも成功した。この研究はブラックホールの微視的性質を理解するとともに、ホログラフィーという量子重力特有の性質を理解するうえでも重要である。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)