Project/Area Number |
08J01175
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐金 武 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2008: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 時間論 / 現在主義 / 時間の非対称性 / 決定論 / 因果 / 時間の流れ / タイムトラベル |
Research Abstract |
時間とは何か」という問題は、古くて新しい哲学的難問の一つである。分析哲学における時間論の基礎を築いたマクタガートは、変化の次元としての時間という考えを提起しながらも、このような時間概念は維持することができないと考えた。本研究の目的は、このマクタガートの議論に対してダイナミックな時間論を擁護し、その可能性を見定めることにある この目的のもと、昨年度はダイナミックな時間論の体系的展開に取り組んだ。具体的には、現在だけが存在すると主張する現在主義の諸形態を検討し、そのうち「時制化された性質の理論」を取り上げた。これを理論的な基礎として、時間の非対称性(過去と未来の概念的及び存在論的相違)の問題を論じた。 以上の成果を踏まえて今年度は、時間の非対称性(上で定式化された限りでの過去と未来の相違)が因果の問題にもたらす諸帰結を洗い出し、流れるものとしての時間について考察した。さらに、関連する応用問題として、現在主義とタイムトラベルの両立(不)可能性について考察した。いくつかの学会において発表されたこれらの成果は、今後加筆修正の上論文にまとめて学会誌等に発表するつもりである。 本研究は主として時間についての形而上学に関わるが、時間概念の探求というより大きな目的のため、「我々はなぜ時間を必要とするのか」という時間概念の発生論的アプローチや、「我々はいかにして時間を経験するのか」という現象学的アプローチにも着手した。具体的には、「意識の流れ」についての様々な著作を参照し、そのなかでも比較的最近発表されたB.ディントンの著作の書評を太田紘史氏(京都大学博士課程在学・日本学術振興会特別研究員)と共同執筆した。また同氏とは、「時間の経験」というテーマにつながる予備的研究として、意識の共時的統一について共同研究し、その成果を学会にて発表した。
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