Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2008: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
平成22年度は,3年間の研究計画の最後の年であり,調査の実施,調査結果の発表,既存データも含めた考察,論文・著書による発表をおこなった。 平成21年1月より,はりまメンタルクリニック(東京都千代田区)を受診した性同一性障害患者の連続サンプルに対し,研究参加への書面同意の下,実施していた調査計画は,平成22年10月に研究参加者が200名に達し,調査を完了した。調査内容は,全般的メンタルヘルス,QOL,利き手,自閉症傾向,性別違和についての質問紙と,掌の撮像による指長計測であった。一方,性別違和を持たない対照群のデータも,性別違和について現在342名のデータが得られている。性別違和についての質問紙尺度の信頼性・妥当性が確認され,適切なカットオフ値が検討された。 Quality of Life(SF-36v2)についての結果は,調査終了前に中間結果の分析をおこない,Male to Femaleの人たちでは,8つ中6つの領域(日常役割機能(身体),全体的健康感,活力,社会生活機能,日常役割機能(精神),心の健康)でQOLが低下しているが,Female to MaleではQOLが低下している領域が少なく(大きく低下しているのは心の健康のみ),かえって日常役割機能(身体)や全体的健康感は良好であったという結果を得た。 日本においては,性同一性障害当事者の戸籍性別の変更が認められ,社会的な認知と理解も徐々に進みつつあるが,メンタルヘルスや心理社会的適応に関する知見は乏しい。本研究は,この分野での先進国での知見を取り入れ,日本の性同一性障害の病態・病因に迫ろうとする重要な取り組みであると考えられる。
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