Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
リチウムイオン電池において,3d遷移金属を含む正極材料は,遷移金属の価数が柔軟に変化することでLiの脱離が容易に行われる.この正極材料の電池特性を決定する因子を解明するためには,基底状態および有限温度下での原子・電荷・磁気配列を知ることが極めて重要である.本研究では,第一原理計算とクラスター展開法を併用し,それらの配列を特定することを目的としている. 対象とする正極材料は3d遷移金属を含んでおり,磁性を有する系である.クラスター展開法では,各原子配列の系のエネルギーをクラスター関数で展開し,有効相互作用を抽出する.しかし,磁性を有する系のエネルギーは原子配列と磁気配列の双方の自由度に依存し,従来の手法を直接適用することはできない.そこで,申請者は,クラスター展開法を磁性を有する系に適用するための手法を提案した.本手法では,まず,様々な原子・磁気配列のもとで第一原理計算を行い,磁気相互作用を計算する.次に,得られた磁気相互作用に基づき,各構造での最安定となる磁気配列を予測する.そして,この最安定な磁気配列のもとで第一原理計算を行い,磁気相互作用を繰込んだ有効相互作用を算出する.このようにして得られた有効相互作用を用いることで,磁気相互作用を考慮した基底状態の探索が可能となる.テストケースとして,本手法をMgO-NiO系においての3つの規則相を初めて計算により予測した.今回提案した手法は,リチウムイオン電池の正極材料を含めた様々な磁性化合物に適用可能である.今後は本手法を用いて,実用材料であるLixCoO_2,LixNiO_2等における基底状態及び有限温度下での原子・電荷・磁気配列のシミュレーションへと適用していく予定である.
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