イネ減数分裂で染色体行動を支配する要因とゲノム間雑種の解析
Project/Area Number |
08J03951
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Breeding science
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
米田 典央 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 減数分裂 / シナプトネマ複合体 / 交叉 / 干渉 / 組換え / 相同染色体 / 生殖 / イネ |
Research Abstract |
昨年度に続きシナプトネマ複合体因子ZYP1の機能解析を進めた。日本型水稲品種である日本晴と台中65号の遺伝的背景をヘテロに持つ正常型(ZYP1/ZYP1)と変異体型(zyp1/zyp1)の植物体を作出し、交叉について遺伝学的解析を行った。それぞれを自殖させて得た組換え後代を用い、第2染色体長腕の5つのSTSマーカー座について隣接マーカー間の組換え価を求めたところ、zyp1変異体では全ての領域で正常型より組換え価が大きかった。これは変異体では正常型より高頻度に交叉が起こることを示す。組換え後代を、ひとつの隣接マーカー間領域について交叉がある集団とない集団に分け、残りの領域の組換え価を集団間で比較したところ、正常型では交叉がない集団よりある集団の組換え価の方が小さい傾向があった。これは「干渉」により、交叉の周辺で別の交叉形成が抑制されていることを示す。一方、変異体では同様の傾向はみられず、干渉がないことが示唆された。交叉は少なくとも2つの組換え経路で形成され、そのうち組換え酵素MSH4に依存する経路で生じる交叉のみが干渉を示すと考えられている。そこでzyp1 msh4二重変異体の解析を進めた結果、zyp1変異体では正常型と同様に、多くの交叉がMSH4経路によって形成されることが明らかとなった。以上の結果から、zyp1変異体での交叉はMSH4経路で形成されるにも拘らず、干渉がないことが示唆された。干渉は多くの真核生物で報告がある現象だが、その分子機構はほとんどわかっていない。ZYP1は対合に必須であることから、今回の結果は対合が干渉を制御する可能性を示唆し、干渉の分子機構を解明する手がかりとして期待される。また、イネではMSH4経路での交叉形成に対合は必須ではないことが明らかとなった。これは出芽酵母や動物での報告と相反し、減数分裂機構の多様性を示す重要な知見である。育種面においては、交叉の頻度や分布は交配育種の効率を左右する要因であり、干渉が欠失し組換え価が上昇するzyp1変異体は育種の効率化に寄与する可能性がある。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)