信頼と寛容の社会学-イギリスの人種関係政策の分析をとおして
Project/Area Number |
08J04553
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安達 智史 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2008 – 2009
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
|
Keywords | コミュニティの結束 / 社会統合 / 若者ムスリムのアイデンティティ / グローカリゼーション / ブリティッシュネス / 多様性と結束 / リベラル・ナショナリズム論 / 社会統合政策 |
Research Abstract |
本年度は、イギリスの社会統合政策の要である「コミュニティの結束」政策が、ローカルなレベルにおいてどのように実施され、受け入れられているかを検証することを目的として設定した。そのため、2009年6月から12月まで、イギリスの「コミュニティ結束研究所」に客員研究員として所属し、イギリスにおける社会統合政策と取り組みについて調査をおこなった。具体的には、(1)コミュニティ団体の社会的結束のための取り組み、および(2)若者ムスリムの社会統合のあり方についての調査をおこなった。前者では、コベントリー市の非白人人口が多数を占める超多様性地域において人種関係改善や交流を促進している、コミュニティ団体「Foleshill Future Project」において参与観察をおこない、イギリスの社会統合の具体的実践について調査をおこなった。この団体はコミュニティの結束についての成功事例とされているが、その特徴としてローカルの問題(宗教間および民族間の対立)を理解するために、グローバルな問題(戦争、歴史、宗教)について理解することが不可欠であるという、グローカリゼーションの哲学に基づいていることを明らかにした。後者では、ムスリムの若者へのインタビューを通して、彼女/彼らがどのように自身のアイデンティティや社会をとらえているかについて調査をおこなった。その結果、ムスリムの若者は、<宗教としてのイスラム/エスニックな文化>という区別を導入することにより、そのアイデンティティを柔軟に管理し、イギリス社会に適応していることを明らかにした。このことは、マスメディアや政治的言説において、ラディカル化が懸念されているムスリムの若者について、よりポジティブな別の解釈を提供する意義を有している。以上の研究は、イギリスのナショナルなレベルにおける統合政策に対ずる、ローカルな運動の重要性を理解することを可能にするものである。
|
Report
(2 results)
Research Products
(15 results)