Project/Area Number |
08J06422
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 幸平 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2008: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 横光利一 / 象徴主義 / ナポレオンと田虫 / 典拠 / 材源 / 新感覚派 / 蠅 / 相対性理論 / 草稿 |
Research Abstract |
(I)草稿研究による横光利一の文体・作品分析 初年度に収集した草稿類は本人によって塗りつぶされるなどしており有効に分析を行えなかった。そのため、昨年度と同様、材源から作品の生成過程を明らかにするというアプローチを採った((III))。 (II)近代小説における象徴主義 昨年度に収集した象徴主義に関する資料を分析し次のような点を明らかにした。1、明治期における日本の自然主義はそれ自身が象徴主義へと深化しようとしたので、日本では自然主義に抗するという形での象徴主義は生じ得ず、自然主義の衰退に伴ってその内部に含まれた象徴主義も開花の機を失った。2、大正期の文壇では再び様々な形で象徴主義の必要性が叫ばれたが、横光ら新感覚派の登場はその状況と密接に関係していた。なお、この研究は論文にまとめて学会誌に発表した。 (III)横光利一「ナポレオンと田虫」の構成 この研究では第一に、横光の「ナポレオンと田虫」が少なくとも『大奈翁伝』と『ナポレオン物語』とを材源にしていることを明らかにした。次に材源との比較によってこの作品で横光が以下のような点を虚構化して描いていることがわかった。1、ナポレオンが皮膚病に伝染したのを、彼の出世の端緒となったロジの戦いの出来事とした。2、すぐに完治したはずの皮膚病をロシア遠征の頃まで悪化させ続けた。3、ナポレオンが患った皮膚病を、疥癬ではなく田虫にした。4、ナポレオンの皮膚病を嫌忌する人物を前妻ジョセフィーヌではなく新皇后ルイザにした。これらをもとに考察した結果、報告者はこの作品が階級闘争に目を奪われるプロレタリア文学陣営をナポレオンに見立てて描いたものであるという結論を得た。なお、この研究は研究発表として学会で報告した。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)