ボナヴェントゥラにおける「存在」と「数の等しさ」がもたらす美について
Project/Area Number |
08J07691
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Aesthetics/Art history
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横道 仁志 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2010: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 中世哲学 / 美学 / ボナヴェントゥラ / 修辞学 / 哲学 / 神学 / 中世美学 |
Research Abstract |
本研究は、ボナヴェントゥラの神学思想を,美学と関連づけて考察することを目的としていた。そして、三年間の研究の結果、単なる・神学者の思想研究に留まらない、神学と美学という二つの学問の本質上の共通性を明らかに出来たと考える。 ボナヴェントゥラの思考は、アウグスティヌスの三位一体思想を継承発展させたという点で、中世思想史の中でひとつの典型をなしている。しかるに、彼の論じる三位一体の概念を詳しく検討すると,「発想、配列,措辞」という古典修辞学の三契機の反響を見てとることが出来る。実のところ、美学の創始者であるバウムガルテンもまた.美が成立するための一般条件である「事象、秩序、記号」を考察するために、理論美学の内容を「発見論,方法論、記号論」に区分している。 ボナヴェントゥラの神学が古典修辞学の図式を採用している理由は、様々な観点から考察出来る。思想史の観点から考えるならば、ボナヴェントゥうと同時代の神学者たちは、古典修辞学に由来する記憶術的教育プログラムの影響下にあった。しかし、思想内容の観点から考えるならば、神学と美学の両学問は、理性(言語)を超えるものを考究しようとする点で一致する。そのさい、「発想、配列、措辞」という三契機は、《指示作用、意味表現、文彩》という言語の三次元を表現するために使用されるのである。 言語が確定された意味を表示するとき、つねにすでに失われてしまう言語の指示作用の次元を代補するのが文彩(美)である。したがって、美は、最初に失われたものが最後に帰って来るという存在と認識の円環が形成されるのに,必要不可欠な契機である。そしてこれが、ボナヴェントゥラの神学が、その根本において美学へと接近すると同時に、三位一体の図式によって規定されている理由である。「数(リズム)」という概念は、三位一体という信仰の次元に属する観念と、美の明証体験とを結びつけるために要請されるのである。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)