ルソーにおけるパフォーマティヴィティに関する教育思想史的研究
Project/Area Number |
08J08218
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金菱 聖子 (菊澤 聖子) Kyoto University, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2008: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | J.-J.ルソー / パフォーマティヴィティ / テクスト論 / 言語論的転回 / 言葉 / 文彩(フィギュール) / 多義性 / 教育学 / アール(art) / 方法 / 教育 / 原理と応用 / 実践 |
Research Abstract |
18世紀研究における啓蒙理解が単に革命を終着点として見る単純な見方から、より重層的で多様なものへと変化するにつれ、ルソー研究においては従来のようなルソーの「思想体系」の抽出ではなく、ルソーをいかに読み直し、啓蒙の思想系譜の中に位置づけるのかということへと研究の視点が移りつつある。このような状況を踏まえ、本研究は構造主義による言語論的転回以降のテクスト論に基づき、テクストにおけるパフォーマティヴィティという観点からテクスト分析を行ってきた。特に、本年度はルソーの執筆スタイルに着目し、しばしば矛盾する二つの要素として捉えられる「思考を促す言葉」と「装飾的な言葉」との「あいだ」を問う試みとして、テクストの言葉それ自体が持つ力に焦点を当て、言葉はそれが担っている字義的な意味だけでなく、テクストの中で非常に多義的な働きをすること、それゆえ読者の読み方やそれを通した理解に関わる側面において、多大な影響を与える力を孕んでいるということを、ド・マンの『読むことのアレゴリー』等においてなされた仕事を批判的に踏まえながら、ルソーの主要著作を中心にテクスト分析を行うことによって明らかにした0教育学の領域において、人を変える力/人が変わる力はどこから生じるのかということは一つの大きな問いである。ルソーをパフォーマテイヴィティという観点から読み直す本研究は、この問いに、言葉という角度からアプローチする一研究として位置づけられる。言葉を、現実指示的というよりはむしろ現実創出的な側面から捉え直すことによって、例えば、従来、教育場面で「問題」とされてきたような事象は、教育を語る言葉によって規定されている側面があるということを指摘することが可能となり、教育を語る言葉自体に注意をうながし、その転換を図ることにより、逆に、語る言葉によって事象を創っていくという新たな観点を提示することができる。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)