自立のための日本帰属-沖縄・エスノナショナリズム運動としての「復帰」-
Project/Area Number |
08J09034
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Politics
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上地 聡子 Waseda University, 政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 帰属議論 / 移民 / 南洋群島 / ハワイ移民社会 / 再移民 / 沖縄救済運動 / 沖縄人コミュニティ / 認識上の権力関係 / 復帰 / 信託統治 / 租借地 / 在京沖縄人 / 米軍基地 / 疎開 |
Research Abstract |
沖縄の戦後初期帰属議論の分析に対して以下2点からのアプローチを行った。 (1)引揚経験と再移民の見通し:沖縄に帰還・流入した22万人余の引揚者が帰属意識に与えた影響を考えるため、引揚規模と時期の確認、戦前の経験、引揚後政治・社会活動、について先行研究をまとめた。また2009年5月にサイパン・テニアンを訪問し、同地を実際に見聞するとともに同道した引揚者から当時の話を伺う機会を得た。さらに、地元政党共和党の要綱と「うるま新報」「沖縄タイマス」に掲載された帰属議論の言説を、移民の記憶と再移民の可能性という観点から再整理した。その結果、帰属議論の一部に、過去の移民経験と将来の再移民可能性が影響している可能性が明らかとなり、将来の再移民の有利・不利という見通しが当時の帰属志向を規定する一要因であったのではないか、という仮説を得た。これは、戦前・戦争直後の沖縄の動態的な人口移動と経験の継続性から帰属議論を分析する視座を導入できたという点で、本研究にとって重要な進展である。 (2)ハワイ沖縄系移民のリアクション:2010年1月から3月までハワイ大学を訪れ、日系紙『ハワイタイムス』と沖縄系月刊誌『更生沖縄』を閲覧・複写した。また当該時期にホノルルで生活していた人々から、戦後沖縄復興に対するハワイ側の反応と活動について聞き取りを行った。その結果、米軍を通じた沖縄救済運動や沖縄との通信内容から、ハワイの沖縄系移民の、沖縄の将来に対する深い関心を読み取ることが可能であることを確認した。またハワイと東京の間には、帰属問題の当事者ではないという自己認識と、現地沖縄人に対する苛立ちが共有され、両者と現地沖縄の間には認識上の権力関係が存在していたのではないか、という仮説を得た。沖縄の帰属問題へ、ハワイ沖縄移民という第三の側面からのアプローチを切り開くという点で有意義な研究であった。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
上地聡子
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Journal Title
『沖縄学入門-空腹の作法』「地図でみる沖縄-人の移動の歴史と米軍基地の変遷」(図録)(昭和堂)
Pages: 348-364
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