近世日本倫理思想史における自己と他者の関係性をめぐる研究―近現代への架橋に向けて
Project/Area Number |
08J10811
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗原 剛 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 倫理学 / 日本倫理思想史 / 信と知 / 福沢諭吉 / 儒学 / 町人文学 / 他者 / 近松門左衛門 / 人形浄瑠璃 / 心中 |
Research Abstract |
本研究は、近現代の日本思想が、西洋文明の影響下に大きく転回していく直前、すなわち近世日本の諸思想に注目し、これを自己と他者の関係性をめぐる倫理思想して再把握するとともに、続く近代思想との間を、新たな連続性によって架橋し直すことを目指すものである。最終年度の作業として、まずは一年目・二年目の研究によって得られた成果を、論文として発表した(「倫理学遠望-近世日本倫理思想における信と知」『理想』685号、理想社、2010年9月)。これは、近世日本の倫理思想における自他関係の様相を、儒学・武士道・町人文学にまたがって大きく見渡し、その可能性と限界を、<信><行><知>という三要素の連関において、浮き彫りにしたものである。この成果を踏まえ、当初の目的である近現代との架橋を試みるべく、新たに福沢諭吉の思想に焦点を当て、これまで同様のアプローチにおいて研究行い、成果を論文として発表した(「『学問のすゝめ』が信じるもの-附晩年「蛆虫」論考」『思想史研究』13号、日本思想史・思想論研究会、2011年3月)。 近世以前の伝統的倫理思想と、近代から現代にいたる、西洋から移入された倫理学との間を正しく架橋することは、倫理学・倫理思想史研究における積年の課題である。本研究がたどり着いた、その架橋を可能にする鍵は、倫理を捉える〈知〉が避けて通ることのできない、〈行〉との矛盾的協働関係であり、さらにはその根底に横たわる、〈信〉との矛盾的統一関係である。とくに、自己が他者に対して、また自己自身に対して、ひいては自己や他者を包摂する超越的な拠りどころに対して、存在の深層において抱く<信>とは何であるか、という問題は、古代から現代までを貫く<知>的営為の根底を明らかにする最重要課題として、浮き彫りにされた。この知見は、近世以前と近代以降の倫理を正しく架橋する上で、いわばその土台を用意したものである。同時に、どこまでも具体的な人称関係に足場を置いた倫理の把捉を目指し、そこに<信><行><知>という分析概念を用いて切り込んだ本研究の成果は、倫理をめぐる現代的かつ応用的な諸課題に対しても、これを足元から解きほぐす手がかりを与えた。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)