Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
近年,養殖技術の発展とともに,多種類の海産種苗が大量生産されるようになったが,寄生虫,細菌,ウイルス等による病気の増加と多様化が進み,大きな問題になっている。申請者らは,これまでの研究により,トラフグ仔稚魚の各種発育段階における海水由来微量元素および主要元素の要求性について検討し,必須元素の組成を明らかにした。 本年度は,必須元素のみで作成した人工海水を用い,トラフグ仔稚魚の飼育の可否を確認するとともに,海水由来必須元素の役割について検討した。また,海産寄生虫ヘテロボツリウムの海水由来元素の要求性についても調べ,人工海水の組成を操作した寄生虫の駆除方法を検討した。その結果,必須4元素のみで作成した人工海水と主要元素海水で飼育したトラフグ仔稚魚の生残率,成長等に顕著な差異は見られなかった。また,各必須元素の役割について調べた結果,Na,KおよびCaの3元素は,トラフグの血漿浸透圧および各種血漿元素含量の維持に必須であることがわかった。他方,海水由来のMgは,浸透圧調整等には強く影響しないことが示唆された。さらに,精製飼料を作成してMgの要求性について詳細に検討した結果,トラフグはMgを餌と環境水の両経路から吸収可能であること,Mgの要求量は環境水中のMgのみで満たされる可能性が高いこと,飼料中に吸収可能なMgが十分に存在すれば,それだけで要求量を満たせる可能性のあることがそれぞれ示唆された。最後に,ヘテロボツリウムの海水由来元素の要求性を検討した結果,ヘテロボツリウムが海水から吸収しなければならない元素の組成はトラフグと同様であったが,必須元素の欠乏に対する耐性時間が元素によって大きく異なることが示された。そこで,元素欠乏に対する耐性の違いを利用してヘテロボツリウムの魚体への感染および駆除の影響を検討したところ,成虫に効果は無いものの,仔虫については顕著な感染軽減および駆虫効果が示唆された。
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