Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,子どもの虐待に対応するための制度的基盤を政策的観点から検討し,ありうべき社会資源・ネットワークを鹿児島県で試験的に構築することであった.この目的に向けて検討する中で,本研究は大きく二つの方向性を有することになった.その一つは,子どもの虐待へのよりよき対応のあり方の考察であり,もう一つは,人権の基礎の考察であった.元々,本研究では,前者しか念頭に置いていなかったが,研究の進展に伴って,子どもの虐待に必然的に付随する諸々の問題に直面する中で,被虐待児と虐待者が最終的にどのような方向に向かうことを目指すべきなのかがあらためて問われた.そして,この問題はより一般的にいえば,他者が介入して人の生に一定の方向付けを行おうとする際,そもそもそのようなことが是認される根拠は何であり,かつその是認される方向性とはどのようなものであるのかということである。この問題は,法律学的には,人権の基礎を問うことにつながっている. さて,これら二つのうち前者については,私が設立したわけではないのだけれども,鹿児島子どもの虐待問題研究会が設立されたことにより,かなりの進展が見られることとなった.本研究会には,鹿児島大学の心理・教育・保健・法律の諸先生方,児童総合相談センター,精神保健福祉センター,県内各市町村の保健婦,弁護士,その他の関係者,が参加しており,そしてこれが事実上,子どもの虐待に対応するための一つのネットワークとなっている.従来批判の対象にばかりなりがちであった児童総合相談センターが参加し,かつ専門の異なる諸々の大学教官がネットワークの一翼を担っていることで、個々の機関の利害を超え,層の厚いサポートが可能となっているように思われる. 他方後者については,人間という存在についての心理学,生物学等による研究成果を参照しながら,現在も引き続き人権のありうべき基礎について考察中である.
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