Project/Area Number |
09F09228
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Biophysics/Chemical physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
為ヶ井 強 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAN Shyam 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 鉄系超伝導体 / 臨界電流密度 / 磁気光学イメージング / マイスナーホール / Fe系超伝導体 |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導体の実用化への研究が山場を迎え、いよいよ超伝導体が社会に浸透し始めようとしている。しかし、経済性や使い易さを考慮した場合、現状の銅酸化物高温超伝導体にも問題が残っており、新規超伝導体の開発が求められている。2008年始めに発見された鉄系超伝導体は大きな可能性を秘めた物質系である。鉄系超伝導体は、既に5種類以上のタイプが発見されており、超伝導転移温度も当初の26Kから55Kを超える物質も合成されている。しかし、新しい超伝導物質が発見されても、T_cが高いだけでは実用化できない。磁場下でも大きな臨界電流密度(J_c)を持つ必要がある。そのために、鉄系超伝導体における混合状態(磁束状態)の詳細を明らかにする必要がある。本研究の主な目的は鉄系超伝導体における磁束状態を磁気光学イメージングを用いて明らかにすることである。この目的の為にCoドープされたBaFe_2As_2薄膜および単結晶を研究に用いた。 本年度は、これまで123型の銅酸化物超伝導体のみで観測されていた再磁化後の磁束侵入における超伝導乱流による磁束-反磁束境界の不安定性の研究を行った。このために良質な最適ドープBa(Fe_<1-x>CO_x)_2As_2単結晶を用いた。H=-300 Oeの下で磁場中冷却された試料にH=+200 Oeの磁場を印加し再磁化したところ、磁束-反磁束境界の顕著な曲がりを伴う不安定性を磁気光学イメージングを用いて観察することができた。この不安定性と同時に、磁束-反磁束境界に顕著な局所磁束密度の変化を確認した。これは、磁東-反磁束境界に過剰電流が流れていることを示している。このことから観測された磁束-反磁束境界の不安定性が"マイスナーホール"に起因するものであることが確認できた。この観察により、"マイスナーホール"は、これまでに観察されていた123型銅酸化物高温超伝導体だけでなく、第2種超伝導体に共通の性質であることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気光学イメージングを用いて鉄系超伝導体の微視的な評価を行うことができた。また、鉄系超伝導体単結晶試料において、磁束と反磁束の境界に生じるマイスナーホールと言う磁束系の不安定性の存在を直接的に示すことができた。これは、マイスナーホールがこれまでに唯一観測されていた銅酸化物高温超伝導体特有の現象ではなく、第2種超伝導体に一般的な現象であることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究と平行して、鉄系超伝導体線材の特性改善が進んでいる。本研究で用いた磁気光学イメージングは実用的な超伝導線材の電流制限機構を知るのに最適な手段であるので、今後は特性の改善しつつある鉄系超伝導線材の更なる特性の向上に寄与して行く必要がある。
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