ベトナム貧困家庭における子どもの経済的貢献と階層移動 : 教育と労働の両立の可能性
Project/Area Number |
09J00087
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勢村 かおり 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | ベトナム / 生涯教育 / 教育機会 / アジア比較 / 成人教育・生涯教育 / ノンフォーマル教育 / 貧困 / 生涯教育制度 / 子ども青少年の就労 |
Research Abstract |
本年度は、(1)昨年度までに得たデータや資料をもとに博士論文の研究を進めつつ、アウトプットを出す活動、そして(2)比較の視点を開くためにアジア・バロメーターの分析ゼミナールへの参加を行った。 (1)に関して、2010年度までにベトナム・ホーチミン市で実施した調査のデータや聞き取り情報の分析を行い、その成果を日本比較教育学会、日本教育社会学会、また国立教育政策所が主催する第3世界の教育研究会において報告を行った。さらに東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻が発行する雑誌『地域文化研究』へ投稿した論文は査読を経て、掲載が決定している。これらの研究報告では、ベトナムにおいて「条件のない青少年の教育機会」としてある生涯教育センターを取り上げ、そこでの学習者が実際にどのような青少年で構成され、どのような学習状況にあるのかの分析検討である。その結果、生涯教育センターには貧困などの家庭状況によって中退した青年が働きながら就学しているグループAと、正規課程において学業不振によってドロップアウトしたグループB、また芸術分野の習得を目指していたり病気等の多様な理由で就学しているグループCに分けられることが分かった。8月~9月にかけて1か月間現地に赴き、補足的にデータや資料を集めたが、それらも踏まえつつ、これら3つのグループの家族状況(特に親の学歴や教育関心)との相関を分析していくことが今後の課題であり、これが博士論文の焦点となると考えている。 (2)に関しては、2003年~2008年にかけてアジア各国で実施されたアジア・バロメーターのデータを用いた比較分析を行ったうえで、台湾で開催されたワークショップに参加し、中国や韓国などから参加した若手研究者との研究交流を行った。博士論文の研究とは直接関係するわけではないが、研究代表者が今後アジアの社会学研究に携わっていく上で非常に重要な機会であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で3年間研究を遂行してきたが、.当初の計画に挙げた現地調査・資料収集・データ分析・研究成果の発表に関しては、ほぼ予定通り実施することができた。若干研究成果の発表(特に雑誌論文)が少なめであるが、本研究の目的である「社会学的観点とその手法を用いて、子どもの経済活動がその家族や子ども自身の将来にどのような効用や影響を及ぼしているのかの分析」について、現時点で完全に実施するには至っていないが、充分な材料を得ることができ、これらは今後の研究活動によって比較的早い段階で達成できると考えられるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の研究期間3年間は既に経過してしまったが、この研究課題をより推進し、博士論文という形で完成させるためには、研究対象とする生涯教育センターの学習者らの属性分析が鍵となる。予定よりも研究機関を延長することになるが、研究課題終了後の1年間を用いて、丁寧に分析を行い、その結果を各学会や研究会、ワークショップ等で発表し批判的検討を受けた上で、それを軸とした博士論文を執筆していくこととしたい。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)