先史アンデス文明における祭祀建造物と社会変化の動態的相互関係
Project/Area Number |
09J00490
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cultural anthropology/Folklore
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山本 睦 埼玉大学, 教養学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | アンデス / 形成期 / 祭祀建造物 / 地域間ルート / 地域間交流 / 社会変化 |
Research Abstract |
研究目的は、アンデス形成期(B.C.2500-1)におけるペルー北部ワンカバンバ河谷の社会過程の解明である。今年度は、発掘による資料の拡充および、以前の調査データとの比較検討、総合に基づいて、形成期の社会変化と地域間交流ルートの変化との相関関係を明らかにするために、インガタンボ遺跡で重点的な発掘調査を実施した。この理由は、先行調査によってすでに遺跡全体像をある程度把握しており、上記の仮説を検証可能な資料の入手が高い確率で、かつ短期間のうちに見込まれたからである。発掘の結果、遺跡の中心に位置する基壇上に築かれた部屋状構造物の建設過程について新たな知見が得られた。また、建造物の周期的増改築に伴う灰層から、地域間交流を論じる際に具体的なデータとなる多量の精製土器や貝製品、黒曜石が出土するという、儀礼的行為の存在が確認された。つまり、本調査によって祭祀建造物の建設活動と儀礼、地域間交流の活性化が同時に生じたことが具体的に示唆された。さらに、調査データを前年度から実施してきた地域間ルートの分析と併せて検討すると、ペルー北部地域で地域間ルートの変化が起こるとともに、ワンカバンバ河谷で地域間交流が活発化し、祭祀建造物の大規模化が生じることが明らかとなった。これまでの調査と分析から、当該社会において、祭祀建造物が儀礼や地域間交流の中心であり、社会統合の核となっていたことは明白である。その中で、当該社会の特徴および独自性は、流域外部社会との地域間交流を重視し、祭祀建造物で執り行われる諸活動の根幹に地域間交流をおくことである。したがって、周辺地域社会との関係性の中で、当該社会の社会的戦略は常に変化し、その結果として祭祀建造物を中心とした社会変化が展開されたと考えられる。ここに、祭祀建造物をめぐる諸活動と社会変化の動態的相関関係を見いだすことが可能である。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)