Project/Area Number |
09J03939
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉田 浩崇 広島大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 後期ウィトゲンシュタイン / 内面の文法 / C.ダイアモンド / J.マクダウエル / R.ブランダム / 人格概念 / 道徳的実在論 / アスペクト知覚 / コミットメント / カベル / 不確実性 |
Research Abstract |
本年度は、これまでの研究成果を論文にまとめるとともに、博士論文を完成させた。 本年度の研究成果は以下の二点である。 (1)後期ウィトゲンシュタインを道徳哲学の文脈に位置づける視座を提示しているJ.マクダウエルとR.ブランダムの議論に着目し、道徳的判断における概念化能力の獲得とそれによる他者への態度表明との関係を、規範の獲得とその刷新という視点から明らかにした。これにより、他者に内面を見出し、人格として扱うようになるという、規範を有する共同体の「実践」へ参入過程をダイナミックに描き出した。 (2)ダイアモンドの動物倫理に関する議論を手がかりとして、規範を有した言語実践のなかで、ある対象の内面を見出し、人格として語り紡ぐことの可能性と限界性を考察した。とりわけ、ダイアモンドの議論をウィトゲンシュタインのアスペクト知覚に関する議論と整合的に結びつけることで、概念化不可能でありながらも既存の規範性を転換しうるような、「内面」についての言表行動の意義を示した。 以上の研究成果とこれまでの研究成果をふまえて、博士論文を完成させた。生命倫理学において議論されている重度障害児の人格性について、ウィトゲンシュタインおよびその解釈者の議論を分析することで、「人格」あるいは「内面」が日常の言語実践でどのように見出され、変容するのかを探求した。その結果、「人格」や「内面」がそれらの実在の確認を基にして見出されているのではなく、それらの概念に関わる言語使用やその背景となる歴史的・文化的な諸関係のなかで成立していることが示された。この成果は、教育学のなかで自明視されている子どもの主体性や内面表出について、たとえば脳科学や行動科学などの実証科学的な手法では見出し難い側面を照らし出すとともに、教育学の立場から生命倫理学などの関連領域に対して示唆を与え得るものである。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)