Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Research Abstract |
資本と負債の区別が損益計算に影響を与えるという視点を明確にした上で,連結貸借対照表において資本と負債の境界線上に位置する少数株主持分に着目し研究に取り組んだ。 第1に,実務・理論・制度という連結財務諸表の発展の流れに沿って,少数株主持分の性格や関連する会計処理の関係について整理した。 少数株主持分の性格について,1901年から1930年のアニュアル・レポートのデータベースを利用し,当時の連結財務諸表を広く調査・分析を行った。経済的単一体説が主張される以前に,少数株主持分を資本に区分表示していた事例があったことを示した上で,連結財務諸表の作成方法に関する当時の文献を裏付けとして,その理由を簿記的な処理から説明した。また,会計基準が整備される前の連結貸借対照表における少数株主持分の多様な表示実態及びその変化を示した。具体的には,資本及び中間区分が優勢であったが,徐々に中間区分・負債へと移行した様子を明らかにしている。 Moonitz(1951)以前の1920年代の文献から,今日の連結基礎概念の源流である連結集団の捉え方に関する議論について,少数株主持分を切り口として分析を行った。少数株主持分の貸借対照表における表示区分,損益計算書における表示区分,のれんの計上額,未実現利益の消去など一連の会計処理を整合的に論じる枠組みが構築されている。また,子会社の新株発行に伴う親会社持分の変動に関しても検討を行った。 第2に,全く別の論点と考えられてきた優先株式と少数株主持分について,事業部の業績に連動して配当が支払われる優先株式(トラッキング・ストック)を取り上げることによって,個別財務諸表と連結財務諸表に共通する論点であることを明らかにし,資本と負債の区別に関する両者の議論を整合的に展開しなければならないことを示した。 第3に,少数株主持分及び少数株主損益に対し,株価がどのように反応しているのかについて検討を行った。先行研究同様,必ずしも明確な結果は得られず,株価によって親会社説と経済的単一体説の優勢を決めることの困難さを示す追加的証拠の1つを提供している。
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