米国モダニズム文学におけるエヴァンジェリカリズムの表象―世俗性と超越性の間―
Project/Area Number |
09J09918
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
英米・英語圏文学
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 久美子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2009 – 2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | アメリカ文学 / 宗教 / モダニズム文学 / フォークナー / アメリカ南部文化 / 視覚文化 / アメリカ美術史 / シオドア・ドライサー / 『アメリカの悲劇』 / F・スコット・フィッツジェラルド / 『グレート・ギャツビー』 |
Research Abstract |
採用第三年度の本年は、ミシガン大学に提出予定の博士論文の完成に費やした。最終章に当たるウィリアム・フォークナーの『響きと怒り』論および博論全体の序章のための文献調査および執筆を重点的に行った。第二章では、これまであまり注目されてこなかったフォークナー作品におけるモニュメント(monument:記念碑・慰霊碑・墓碑)の表象に焦点を当てた。 調査の結果、フォークナーのモニュメント表象について得ることのできた主要な論点は以下の通りである。 ・『響きと怒り』は南北戦争後、南部連合で死んだ兵士を弔うモニュメントが南部各地に建てられたことを背景にしていること ・南部のモニュメントの爆発的増加はキリスト教福音派の台頭と連動していたこと ・こうしたモニュメントは、当時の美術批評家からは悪趣味で、迷信的であると批判されていたこと ・フォークナーは先鋭と革新を旨とするモダニズム芸術に傾倒していたが、同時に、その対極ともいえる南部文化に対する思い入れがあったこと ・フォークナーが『響きと怒り』において成し遂げたことは、モニュメントという極めて南部的産物を、従来の単純な先祖崇拝とは異なるラディカルな記念物として表現したことにあるということ また博士論文の序章にあたる論においては、米国モダニズム小説において、いかに既存の制度的宗教に対する失望とそれを乗り越えようとする動きが繰り返し描かれてきたかということを分析した。 なお、本年は、博士論文執筆に集中したため、とくに口頭および論文発表などは行っていない。本年の研究成果としての博士論文は、2012年8月に口頭試問を受け正式に認可を受ける予定である。また、フォークナー論は日本アメリカ文学会の機関論である『アメリカ文学研究』に投稿して評価を仰ぐ所存である。
|
Report
(3 results)
Research Products
(1 results)