Project/Area Number |
09J10671
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Bioinformatics/Life informatics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 昭彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 遺伝子ネットワーク / ニューロブラスト / 神経幹細胞 / ロバストネス / 細胞選別 / セルラーポッツモデル / 緩和過程 / 協同性 |
Research Abstract |
1.発生過程では、幹細胞から様々な細胞種が作り出されることで複雑な組織を形成できるため、その細胞分化の機構を理解することは発生生物学の最重要課題の一つである。ショウジョウバエの神経幹細胞では一定の順序に従った転写因子の発現がみられ、時間的な発現の多様性により細胞の多様性が生み出される、非常に興味深い分化のメカニズムを示すモデル系である。転写因子の制御関係からこの特徴的な遺伝子発現が生み出されていることを示唆する知見が数多く得られてきたが、その遺伝子制御ネットワークの全体像はこれまで描けていなかった。本研究では、これまで得られた実験的知見と整合的振る舞いを示す遺伝子ネットワークの探索から、一定の発現順序を生み出すためのコアネットワークの同定に成功した。合わせて、発現順序の安定性の解析から安定な経時的発現を作り出すためのネットワークモジュールを明らかにし、ショウジョウバエ転写ネットワークが神経の多様化に最適な構造であるということが理解できた。これら結果はショウジョウバエ神経発生の理解に加えて、頑強な遺伝子発現パターンを生み出すネットワークの一般的特性の理解に役立つ。2.次に、作り出された多様な細胞から空間的組織構造が作り出される機構を明らかにするために、モデル系として細胞選別現象に注目し、数理モデルを用いて細胞選別が細胞のどのような力学的な特徴を必要としているか理論的に解析した。その結果、細胞接着に由来する表面張力で駆動される運動と、接着した細胞集団の集団拡散運動の2つの力学的過程が選別に重要とわかった。特に注目すべき性質として、細胞集団が大きくなるにつれ、他の細胞の間を通り抜けるまでにかかる時間が飛躍的に延びてしまうこと、したがって実際の組織形成では、細胞選別の素早い進展のために細胞集団の極性や動きを揃えた協調的運動が物理的に要請されていることを明らかにすることができた。
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