水産生物におけるバイオテレメトリー高精度化に関する研究―物理・生物環境雑音除去―
Project/Area Number |
09J10803
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
General fisheries
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
宮城 亜紀 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 超音波バイオテレメトリー / ピンガ / 水中雑音 / 海洋音響 / 受信距離 |
Research Abstract |
水産生物の資源管理や保護を行うために、生物の行動や生態を把握することが必要である。そのために超音波バイオテレメトリー手法を用いた生物の行動調査がこれまで盛んに行われている。この手法は超音波発信器(ピンガ)を対象とする生物に装着して放流し、その信号を超音波受信器で受信することにより生物の行動を推定する。この手法の受信距離はピンガの送波音圧と受信器周辺の水中雑音によって変動する可能性がある。しかし、それらの要因を考慮した生物の行動調査は行われていない。そこで、本研究では大きく2項目の実験を行う。本年度は以下の内容で研究を行なった。 1、魚体内から放射した超音波の測定 魚の腹腔内にピンガを装着する場合の送波音圧の変化を明らかにする研究を行なった。小型魚の代表例として活魚のメバル10個体を用いて測定を行なった。その結果、昨年のミナミマグロとは異なり、背部と尾部方向の送波音圧が著しく低下し、腹部方向では増加した。これらの結果から、ピンガを魚類の腹腔内に挿入すると送波音圧が変化し、受信器と魚の位置関係によって送波音圧が変化することが示された。ミナミマグロの研究成果は日本水産学会誌に掲載された。 2、受信距離推定 これまでの研究結果からピンガの送波音圧の変化が受信距離に与える影響を検討した結果、調査時に受信距離が大きく変化し、対象魚本来の行動を捉えきれない恐れがあることが明らかになった。今後、本手法を用いてピンガを対象生物の腹腔内に挿入する場合は送波音圧が変化することを把握し、それを踏まえた上で受信距離を決定し、受信器の設置や生物の行動解析を行う必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波バイオテレメトリーで行動・生態調査が行われている大型、小型の魚種の腹腔内にピンガを装着した場合の影響を明らかにし、鰾の有無や魚種による違いを明確にした。環境雑音については作製した機器のシステム雑音の影響があったが、解析方法を工夫し雑音変化を評価した。これらの研究成果を用いて、超音波バイオテレメトリーにおける受信距離に関する指標の礎となる成果をあげた。
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Strategy for Future Research Activity |
魚類の腹腔内にピンガを挿入した場合の送波音圧の変化においては、個体数を増やし、さまざまな魚種を用いて測定を行い、個体の大きさや魚種による違いについて検討を行う必要がある。また、本研究では無鰾魚と有鰾魚として1魚種のみでの測定であるため、今後はさらに測定を行い、鰾の有無による特徴について検討する必要がある。 高周波数帯における水中雑音については、同海域において降水や風速などの気象条件が異なるときに観測を行い、気象条件と雑音スペクトルレベルの関係について検討を行う必要がある。また、同海域において季節による変化やさらに地域による変化についても検討を行い、これらを行った上で、高周波数帯における雑音スペクトルレベルの指標を作成することが必要である。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)