バングラデシュにおける貧困とサイクロン被害の因果関係に関する研究
Project/Area Number |
10J03875
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Social systems engineering/Safety system
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日下部 尚徳 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | バングラデシュ / 災害 / サイクロン / 貧困 / 防災 |
Research Abstract |
2011年度は、バングラデシュにおける355世帯を対象とした質問紙調査をもとに、バングラデシュにおける貧困とサイクロン被害の因果関係に関する研究を実施した。具体的には、大型の熱帯低気圧による被害が甚大なバングラデシュ南部沿岸地域において、自然災害の被害と貧困の問題に焦点を当て、2007年にバングラデシュを襲ったサイクロン「シドル」の被災地における実証的研究をもとに、災害脆弱性と貧困の課題を分析した。 本研究の目的は、地域の災害脆弱性を微視的視座明らかにし、被害抑止と被害軽減の視点から防災政策の課題を提起することを通じて、地域の災害脆弱性の克服と、防災力の向上を目指すことにある。具体的には、バングラデシュにおけるサイクロン災害とそれによって発生する被害を統計的に分析することにより外力への理解を図り、これまでの構造物による防災政策の課題を、被害軽減の要であるサイクロンシェルター支援を分析することにより考察した。また、バングラデシュ国ノアカリ県ハティア郡ハティア島における6地域355世帯を対象とした質問紙調査をもとに、(1)貧困に起因する「避難意思阻害要因」によって避難行動がとれないといった低い防災力が災害被害を拡大すること、(2)生活基盤の弱い貧困層が災害リスクの高い堤外地に移り住むことによって高まる地域の災害脆弱性、を微視的視座から実証的に明らかにした。 これらの研究を通じて、貧困が災害被害に及ぼす影響を明らかにし、災害に対する配慮がなされた貧困削減政策が実践されなければ、貧困に起因する災害被害拡大要因に対処することは難しいことを指摘した。また、防災は、住民の日々の営みの中に位置づけられなければその効果を十分に発揮することはできず、他の開発課題同様、そこに暮らす人びとの参加を前提とした政策立案と、その効果を低減する可能性のある、貧困などの地域の固有要因への働きかけを同時に実施していく必要性を提起した。
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Report
(2 results)
Research Products
(18 results)