ソロモン諸島マライタ島の海上居住実践とその現代的動態に関する場所論的比較民族誌
Project/Area Number |
11J09761
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cultural anthropology/Folklore
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
里見 龍樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | メラネシア / ソロモン諸島マライタ島 / ラウ/アシ / 海上居住 / 場所・空間 / カストム / マーシナ・ルール / 漁撈活動 / 葬制 / 漁撈 |
Research Abstract |
メラネシアのソロモン諸島マライタ島北部に住むラウの人々は、「人工島」と呼ばれる、世界に類例を見ない海上居住を今日まで実践してきた。本研究は、この独自の居住形態に関する文化人類学的な調査・研究を通じ、1990年代以降の人類学で活発に議論されてきた場所性や移住・居住の主題に関し、新たな理論的・民族誌的知見を提示しようとするものである。研究代表者は、平成24年度を通じ、当初の計画に従って着実に研究を進め、成果を発表してきた。年度初めには、前年度に行った口頭発表を踏まえ、オセアニア人類学で盛んに論じられてきた「カストム」(文化的伝統)の概念を、ラウの事例に即して再考する論文を執筆・投稿した。次いで6月には、マライタ島の名を人類学者の間で知らしめてきた反植民地運動「マーシナ・ルール」を主題に学会発表を行った。同報告では、マーシナ・ルールに関する従来の研究で強調されていた「植民地主義への抵抗」という主題が、現在のラウによる語りに端的に欠如していること、そして人々がむしろ、そこで実現していた集合的生活の大規模性や調和性という点に、同運動の意義を見出していることを指摘し、その含意について考察した。また3月には、伝統的に活発な漁撈民として知られるラウにおける漁撈活動の現状と、海洋資源に関するこの人々の認識の関連を主題に学会発表を行った。この報告では、前年度の現地調査の成果に基づき、伝統的な集団的網漁から夜間に単身で行う潜水漁へと変貌しているラウの漁撈活動の実態を紹介するとともに、海洋資源の減少に関する人々の認識が、自らの居住環境の全体的な衰退の意識と密接に結び付いていることを指摘した。これらの研究成果はいずれも、ラウという個別事例の詳細な検討を通じて、現代の人類学に対し理論的な問題を提起する意欲的なものであると自負している。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)