有限密度QCDへの応用へ向けた複素ランジュバンシミュレーションの研究
Project/Area Number |
11J10149
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research (2012) The University of Tokyo (2011) |
Research Fellow |
佐野 崇 独立行政法人理化学研究所, 初田量子ハドロン物理学研究室, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 格子QCD / 有限密度QCD / 符号問題 / 確率過程量子化 / ランダム行列模型 / 量子色力学(QCD) / QCD相図 / カイラル相転移 / 格子QCDシミュレーション |
Research Abstract |
量子色力学(QCD)は強い相互作用の理論であるが、低エネルギーにおいては強結合系として振る舞うために、摂動的な計算を用いることができない。非摂動的手法として強力なのが、格子化したQCDを計算機上に載せ、シミュレーションを行う方法である。この方法は長く用いられ、すでに大きな成功を収めている。一方、系が有限の密度を保つ場合、格子シミュレーションに用いられる、重みの確率解釈が破綻するという問題がある。この問題は符号問題と呼ばれており、これを克服することが我々の最終的な課題となる。 統計系のシミュレーション手法には、確率解釈を用いないものも存在する。その一つが、ランジュバン方程式を用いた方法である。この方法では、理論の作用とノイズから決まるランジュバン方程式を逐次的に解くことで、定常状態を見出す。この定常状態が元の理論の基底状態になっているということが、複素ランジュバン法の主張である。この主張は、作用が実の場合には数学的に証明されているが、作用が複素の場合には証明はない。にもかかわらず、多くの場合にシミュレーション自体は問題なく遂行可能であり、定常解を得ることができる。 我々は複素ランジュバン法をランダム行列模型に適用する研究を行った。ランダム行列模型は解析解の知られた性質の良い模型であり、数値解と解析解を比較することで、手法の検証を行うことができる。検証の結果、我々は両者に有意な差のあるパラメータ領域を発見した。先行研究では、複素ランジュバン法が正しい解に収束しない場合、数値解がSchwinger-Dyson方程式を満たさないことが指摘されていた。我々は同領域においてSchwinger-Dyson方程式をチェックしたが、満たされていることが発見できた。これは、今までとは異なる機構によって、複素ランジュバン法が破綻していることを示唆している。この結果を元に、新しい手法の判定条件を確立することが、直近の課題である。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)