牛ボツリヌス症由来菌の産生する毒素の性状解析と特異診断法の確立
Project/Area Number |
11J10628
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Applied veterinary science
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Research Fellow |
中村 佳司 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 牛ボツリヌス症 / ボツリヌス神経毒素 / イムノクロマトグラフィー / ガングリオシドGM1a / VAMP1 |
Research Abstract |
本研究では、牛ポツリヌス症の発症機序解明のための基礎的な毒素の活性発現機構の解析と毒素の特異検出法の開発を行った。本症の原因毒素はD/Cモザイク毒素(BoNT/DC)である。BoNT/DCのラットに対する毒素活性はマウスと比較して著しく低いが、前年度の研究成果によりこの違いは本毒素のVAMP1切断活性に起因すると考えられた。 ラットVAMP1のマウスと異なるアミノ酸3残基をマウス内で対応するアミノ酸に置換した点変異体を作製し、VAMP1アミノ酸配列における48番目のイソロイシンがBoNT/DCの酵素活性に重要であることを明らかにした。さらにBoNT/DCのウシVAMP1およびVAMP2に対する基質切断活性はマウスと同等であることを確認した。BoNT/DCがガングリオシドGMlaと結合することを前年度に報告した。ガングリオシドGMIaをPC12細胞に前処理することによって毒素が細胞内の基質を分解することを確認した。また、ガングリオシドGMlaを受容体として認識するコレラ毒素BサブユニットがBoNT/DCのマウス小脳穎粒細胞への作用を阻害した。これらのことから、ガングリオシドGMlaが毒素の機能的受容体であることを示した。BoNT/DCの分子生物学的特性を示すこれらの結果は本毒素の異なる動物種に対する毒素活性を理解するための重要なデータとなると考えられる。 BoNT/DCを特異的に検出するイムノクロマトグラフィーキットを試作した。実際に牛ボツリヌス症が疑われる個体の糞便を用いてこのキットの有用性を検討した。本キットは2,600LD_50/ml以上のマウス致死活性を示す培養上清中の毒素を検出したことから、ボツリヌス症の診断の一助となることが確認できた。 以上の研究成果により牛ボツリヌス症の発症機構が解明され、予防・治療法が開発されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに実験を進め、多くのデータを得ることができた。その成果を学術誌「Infection and Immunity」および「Veterinary Microbiology」に投稿し、ともに受理された。また、得られた結果を学会で発表し、他の研究者と討論を重ね本テーマに対する多角的な検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度廃止する。 BoNT/DCのVAMP1に対する酵素活性が毒素活性に関与していることをin vivoでの実験によって確認することで、ヒトも含めた異なる動物種に対する毒性について検討する。また、BoNT/DCの毒性発現機構を詳細に理解するために、宿主側の因子となる本毒素の受容体についてさらに解析を行う。BoNT/DCを特異的に検出するイムノクロマトグラフィーキットはボツリヌス毒素の検出法として一般的に利用されているマウスバイオアッセイの検出感度を超えることができなかった。この問題を解決するため、用いる抗体の再検討および検体に含まれる毒素の簡易的な濃縮方法の模索などを行う必要がある。 平成24年度廃止する
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)