分配的正義の基準と教育の役割-J.ロールズを中心として-
Project/Area Number |
11J11033
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
児島 博紀 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 分配的正義 / ロールズ / 正義論 / 教育 / 平等 / 友愛 |
Research Abstract |
本研究は、二つの柱から成り立っており、それは土台となる倫理学・社会哲学的な研究と、その応用・実践的な位置づけとしての教育学的研究である。初年度は主に前者を中心に研究を進めたのに対し、本年度は後者の側面に焦点を当て、領域横断的な研究のさらなる進展を目指した。この点に関して、本年度の主な研究成果は次の二つである。以下にその概要を示す。 ・「シティズンシップ教育における教化と教育の問題-現代イギリスにおけるモデル・カリキュラムに着目して-」 院生による共同研究である。政治教育あるいはシティズンシップ教育において問題となることの一つに、それが教化に陥る危険性が挙げられる。そこでこの共同研究においては、そうした教化と教育を分かつポイントを理論的な次元から検討しつつ、それをイギリスのシティズンシップ教育の実践(教師用のモデル-カリキュラム)に適用させながら考察した。これによって、日本においてもシティズンスップ教育を実施していくにあたっての理論的・実践的な課題を提示した。 ・「J・ロールズの正義感覚論の検討」 本報告は、イギリス理想主義学会における口頭の個人発表である。本報告が目指したのは、ロールズ研究においてこれまで比較的周縁的なトピックとして扱われてきた、「正義感覚(sense of justice)」の議論を取り上げることによって、人が正義への関心や道徳性を発達させる過程やその条件について考察することである。その際、利他性において限られた存在である人間が正義への関心を持つ契機として、イギリスの思想家」・S・ミルとの関連から、自己を基点とした欲求とその社会化という点に注目した。このことは、人が現実的な条件に根ざしつつも、なお理想としての正義へといたる道筋とそのための教育の可能性を考えるうえで、一つの手がかりとなるものだと考える。 以上二つの成果は、分配的正義の基準とその教育の役割という観点から、次のように位置づけられる。つまり、正義にかなった社会を維持していく、あるいはそうした社会を目指していくための教育の可能性とその条件を明らかにしていくということである。その他、現在投稿中、あるいは執筆中の論文も含め、今後のさらなる研究の深化を目指したい。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)