医療実践における安心と安全:患者-医師間の合意形成に関する研究
Project/Area Number |
11J40159
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
高田 理恵 (川島 理恵) 埼玉大学, 教養学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2014
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2012: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 医療社会学 / 会話分析 / 相互行為研究 / 終末期医療 / 救急医療 / 医療現場研究 / ヘルスコミュニケーション |
Research Abstract |
本年度の前半は,主に合意が相互行為的に達成されていく現場として,救命センターでの治療場面に焦点をあて,患者の死が確定的となる場面の分析を行った.特に医療者の間で患者の状態が「死」として確定していく会話上でのやり取りを示し,医療者間で患者の死が物語り形式の語りによって家族と共有されているプロセスを明らかにした.また後半は,不確実な状況下における医療者と患者家族の相互行為の構造を明らかにし,現代日本社会における医療場面の意思決定過程に関する実証的な研究を行った.本研究で明らかになった会話上の構造は,突然の死が自然な死として認識可能となる一つのステップを示唆している.説明から意思決定過程というプロセスは,家族が治療中断という決断をしやすいようなデザインになっていた.また説明自体が,説明可能性(accountability)を高める形で組まれていることで,その後の提案の正当性Gegitimacy)が高まるという仕組みになっていた.さらに家族における交渉(negotiation)にも着目し,妊婦とその家族との相互行為を分析し,その中でどういったnegotiationが行われ,家族の再編に際して合意がどのように成立していっているのかを分析した.妊婦の身体性がリソースとして使われることで,新たな家族を迎えるプロセスが調整され,その中で,胎児をどのような参与者として扱うのかというnegotiationがなされていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,様々な分野における合意形成を明らかにすることである.今年度では,救急医療における死戦期の合意形成について明らかにし,さらにチーム医療における「死」の形成過程にも着目して研究を行った.さらに家族のコミュニケーションについて分析を加えることで,「提案-同意」という枠組みだけでなく,「物語り」や「教示」という手法が合意形成を目的として使用されていることが明らかになった.現在投稿中の論文は,来年度中には発行される予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度では,特別研究員としての研究活動は辞退したが,25年4月から着任した大学にて引き続き研究活動を継続する.本研究の内容に関しては,さらにアメリカにおける合意形成との比較という観点から,さらに分析を進める予定である.また引き続き海外学会などで発表を行い,海外研究者との交流を通じて,意思決定過程や患者中心医療に関する議論の発展や分析の整合性について検討を重ねていく.
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)