高信頼社会は幸福か-信頼の機能と社会階層の実証研究-
Project/Area Number |
11J56092
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
稲垣 佑典 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 一般的信頼 / 社会的ジレンマ / 幸福感 / 信頼生成過程 / 地域 / 信頼 / 信頼ゲーム / z-tree |
Research Abstract |
平成24年度の研究活動は次の3つである。 (1)繰り返し信頼ゲームをおこない、信頼とパートナーへのポイント投資量およびサンクション量の関係を見ることで信頼の逆機能の可能性を検討した。実験で採取したデータをもとに、被験者を信頼の水準ごとに4分類してパートナーへの投資量とサンクションのパターンを比較した。その結果、4群の間にポイント投資量の差は統計的に有意ではなかった。しかし、信頼高群では一度でも裏切りを働いた相手に対しては次回のゲームにおいて投資量を減らし、その上で多くサンクションを与える傾向が見られた。なお、ゲームにおいて自身・パートナーともに最も平均獲得利得が高かったのは信頼中高群であり、次点で信頼中低群、信頼高群は信頼低群と同程度の獲得利得であった。このように、繰り返し信頼ゲームにおいて高すぎる信頼感は自他ともに利得を減少させる可能性があることが明らかとなった。ここから、継続的な対人関係も存在する現実社会においては、高すぎる信頼が不利益をもたらす場合があるというインプリケーションが導出される。 (2)ISSP国際比較データを用いて階層要因等と信頼感の関連性を分析した。すると、学歴などの階層要因の効果は維持されていたものの、それ以上に信頼感に影響する要因として現状に対する幸福度が存在していた。このことは、高信頼社会が実現することで幸福な生活が実現するというよりも、幸福度を感じることができる体制・社会制度のもとで高信頼社会が実現するということを示している。 (3)インターネット調査をおこない、東日本大震災後の一般的信頼の変化についてのパネルデータを収集した。それを用いてパネルデータ分析をおこなったところ、地域への関与が深く、地域に対する信頼感を高く持つ者ほど、他者一般に対する一般的信頼感を高く持つようになることが明らかとなった。この知見は、地域への関与が他者一般への信頼感を生成することを示している。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)