彩色材と和紙からなる紙質文化財における和紙の劣化機構
Project/Area Number |
13J40225
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cultural property science
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
貴田 啓子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥3,553,842 (Direct Cost: ¥2,987,571、Indirect Cost: ¥566,271)
Fiscal Year 2015: ¥1,023,842 (Direct Cost: ¥787,571、Indirect Cost: ¥236,271)
Fiscal Year 2014: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 和紙 / 緑青焼け / セルロース / 銅イオン / セルロース分子量 / 紙の劣化 / 分子量分布 / GPC / GPC-MALS / 加速劣化 |
Outline of Annual Research Achievements |
紙質文化財の劣化を促進する要因のひとつに、顔料等に由来する金属イオンの影響がある。顔料を塗布し加速劣化させた和紙のモデル試料を作製し、紙中のセルロース及びヘミセルロースの金属イオンの影響による劣化反応の進行部位を検討することにより、紙の劣化機構の一端を明らかにするとともに、よりよい保存処置や修復および保存環境を検討することを目的とする 緑青顔料は、粒度によって色味が異なり、文化財資料に用いられている緑青顔料の粒度も様々である。緑青中の銅成分は、緑青焼けの主要因とされているが、その粒度が小さいほど顔料の表面積が大きくなることから、銅成分の安定性に影響を与えることが考えられる。粒度の異なる緑青顔料中の顔料膠溶液中の銅イオン含有量を測定し、その安定性を検討した。顔料の膠水溶液中においては、いずれの顔料においても、銅イオンが検出され、特に粒度の最も小さい白緑顔料では、銅イオン量が最も多かった。 緑青顔料の粒度により銅成分の安定性が異なっていたことから、和紙に粒度の異なる緑青顔料を塗布し、湿熱加速劣化処理により緑青焼けの劣化を再現した。これらの紙試料における、セルロース分子量を測定し、劣化の評価を行った。劣化前の対照試料の楮紙では、M(分子量)= 2.0×106にピークトップをもつ分子量分布を示す。湿熱劣化後、分子量分布は全体的に低分子側にシフトした。緑青焼けのみられる緑青9番塗布の楮紙試料では、さらに楮紙のみよりも分子量が低下し、粒度の最も小さい白緑顔料塗布の試料は、セルロースの分子量低下が最も大きかった。これらの結果から、緑青顔料の水溶性銅イオン量は、粒度に依存し、緑青焼けの促進にも影響を及ぼす可能性が示唆された。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(4 results)
Research Products
(12 results)