Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究においては、ヒト食道癌細胞皮下移植ヌードマウスモデルの腫瘍組織のネクローシス周辺部での低酸素環境下で産生亢進が知られているHypoxia-induced factor-1(HIF-1)の高発現を確認した。また、光感受性物質であるクロリンe6と低酸素細胞選択的放射線増感物質であるEtanidazoleの両者を含有する自己会合型ハイブリッドリポソームを、食道癌細胞株移植皮下腫瘍ヌードマウスモデルに静脈内投与後、光線力学的療法および放射線治療の併用を行ったところ、有意な腫瘍縮小効果およびHIF-1強陽性部位に一致するアポトーシス誘導の増強を認めた。最終的に、開腹後、食道癌細胞株を腹部食道粘膜下に移植した、食道癌同所性移植ヌードマウスモデルに対し、同リポソームを投与後、光ファイバーを用いて腫瘍組織に対し光線力学的療法および放射線照射装置により放射線照射を行った。腫瘍移植28日後(治療14日後)に(a)レーザー光照射群(b)X線照射群、(c)両者併用群、(d)無治療群間において腫瘍サイズを比較したところ、(c)群において有意な腫瘍縮小効果(P=0.03667 ; (c)vs(d))を認めた(論文投稿準備中)。本研究の成果は、ハイブリッドナノパーティクルによる腫瘍選択的な薬物送達技術を応用した放射線治療および光線力学的療法の併用は、相乗効果を介して、腫瘍低酸素領域の治療抵抗性の改善に役立つものと期待される。