2004 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌に対する放射線増感型光感受性Drug Delivery Systemの開発
Project/Area Number |
16790742
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
並木 珠 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10297400)
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Keywords | 放射線治療 / 治療抵抗性 / 食道癌 / Photodynamic therapy / Drug delivery system |
Research Abstract |
食道癌は、リンパ節転移や隣接臓器への浸潤の可能性が高く、非常に予後が悪い。根治的に開胸術を要することが多く術後合併症が、また、高齢者に好発し耐術不能症例も大きな問題となる。そのため低侵襲・高効率な集学的治療法の開発が急務である。近年、食道癌に対して行われつつある、Photodynamic therapy (PDT)の効果は、腫瘍組織に集積した光感受性物質への励起光照射により発生する一重項酸素の細胞毒性に基づく。しかし、治療可能領域は、励起光が到達する範囲に制限され、深部病巣に対しては効果が発揮されない。そこで、現在、食道癌に対し、一般的に行われている放射線治療の併用が有効と思われた。また、放射線治療においても、腫瘍内には、放射線治療抵抗性を示す再発能力の高い低酸素状態の細胞が存在し、低酸素細胞選択的放射線増感物質であるEtanidazole (EZ)などのさらなる併用は、より一層有効な手段と思われた。EZは、好気的条件下にある細胞に対しても無視できない程の毒性を発揮し、正常組織にも低酸素細胞が存在するといった欠点があるため、リポソーム等による腫瘍選択的なDDS (Drug delivery system)の併用が不可欠である。今回、我々が以前開発した、光感受性物質含有ステルスリポソームに、EZを包埋した放射線増感物質含有光感受性リポソームを新規に作製し、放射線照射装置および食道癌細胞株を用いて、その効果を検討したところ、濃度依存的なPhotodynamic effectおよび放射線増感作用を発揮した。平成17年度以降において、食道癌移植動物モデルを作製し、放射線治療効果の改善の程度およびPDTとの相加・相乗効果の有無について明らかにしていく。
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